スタートアップ企業にとって、オフィス選びは重要な決定事項です。適切なオフィスを選ぶことで、自身の働きやすさはもちろん、他の社員のモチベーションを高め、業務効率を向上させることができます。しかし、多くの選択肢がある中で、どのオフィスが自社に最適かを判断するのは簡単なことではありません。
スタートアップ企業の創業者・経営者や、起業家がオフィスを選ぶ際に考慮すべき基準やポイント、さらにおすすめのオフィスタイプや物件を紹介します。
賃貸オフィスの選び方や相場、チェックポイントを理解し、最適なオフィスを見つけるための手助けとなる情報を提供します。
オフィス選びの基準
スタートアップ企業がオフィスを選ぶ際には、まず「費用」「立地」「効率」の3点について決めていくことをおすすめします。これらの要素は企業の成長や日々の業務に大きな影響を与えます。このセクションでは、特に重要な3つの基準について詳しく解説します。
【費用】坪単価はおよそ1万円台が目安
オフィス選びでまず考えるべきは賃料、つまり予算です。一般的に、スタートアップ企業に適したオフィスの坪単価はおよそ1万円台が目安となります。
オフィスは住宅と異なり、月額賃料が〇〇円と表示されるだけではなく、坪単価でも表示されます。坪単価とは、1坪(約3.3㎡)あたりの賃料のことを指します。坪単価を確認することで、ビルのグレードやアクセス、立地の質がおおよそ把握することができます。
この価格帯であれば、初期費用を抑えつつ、必要な設備やスペースを確保できることが多いです。賃料を抑えることで、他の重要な経費に資金を回し、企業の成長をサポートすることが可能です。
オフィスは段階的に良くしていく方がいいですが、資金援助を受けてコストに余裕がある場合は、坪単価2万円程度まで引き上げることも考慮してもいいでしょう。
【立地】自宅または取引先からのアクセスが良い
オフィス選びでは、自宅または取引先などからのアクセスが良い場所を選ぶことをおすすめします。
通勤時間を短縮することで、経営者も社員は事業に専念できる貴重な時間を増やすことができます。例えば、神田や小伝馬町、岩本町などはあらゆるエリアへのアクセスが良く、かつ坪単価も比較的安い地域として人気があります。
スタートアップ企業の経営者にとって、オフィスは自宅のような存在になることも多いです。そのため、経営者自身はもちろん、一緒に働く社員や取引先のアクセスも考慮しましょう。特に、飛行機を利用する機会が多い場合は、空港へのアクセスが良い場所を選ぶことも重要です。
また、経営者仲間や起業家仲間が近くにいる立地を選択する方や、事業内容のイメージに合わせた立地を選択される方もいらっしゃいます。例えば、IT系であれば渋谷周辺、金融系であれば金融街として有名な人形町周辺などが挙げられます。
【効率】オフィスに関する準備の手間が削減できる
スタートアップ企業にとって、オフィス探しや引越しまでの手間をいかに削減するかは非常に重要です。成長速度が速いスタートアップでは、準備時間と手間をかけずに入居できるオフィスを選ぶことをおすすめしています。
必要な設備・家具などがすでに備わっているかどうかもオフィスを選ぶ基準として非常に大切です。
後述する「通常の賃貸オフィス」は、家具がなく内装工事もされていないため、初期費用が高くなります。また、家具選びや内装レイアウトの設計、工事業者の手配など、多くの手間がかかります。
そこで、内装工事が既に完了している「居抜きオフィス」や、家具やインフラ設備が充実している「レンタルオフィス」や「シェアオフィス」を選ぶことで、これらの手間や時間を大幅に削減できます。
スタートアップ企業におすすめのオフィスタイプ
スタートアップ企業にとって、オフィスタイプの選択も重要なポイントです。それぞれのオフィスタイプには、独自のメリットとデメリットがあります。このセクションでは、スタートアップ企業に特におすすめのオフィスタイプを紹介し、それぞれの特徴を解説します。
- レンタルオフィス
- シェアオフィス
- 通常の賃貸オフィス
- 居抜きオフィス
レンタルオフィス
レンタルオフィスは、専用の個別ブースやデスクが提供され、共用スペースを利用するオフィスタイプです。設備や家具がすでに整っており、インフラも整備されています。また、グレードの高いレンタルオフィスは共用部が非常に充実しており、フリードリンクや有人受付サービスなどが用意されています。
レンタルオフィスの最大のメリットは、初期費用が抑えられることと、家具やインフラなどの準備がほとんど必要ないことです。契約後すぐに業務を開始でき、オフィスの管理もレンタルオフィス側が行うため、手間がかかりません。また、高級レンタルオフィスでは、共用部が充実しており、快適な環境が提供されます。
デメリットとしては、ランニングコストが高めであることです。また、共用スペースを利用するため、プライバシーが確保しづらい場合があります。
シェアオフィス
シェアオフィスは、複数の企業や個人が同じスペースを共有して利用するオフィスタイプです。レンタルオフィスと比べて、自社だけの専用区画が用意されていないことが多く、コワーキングスペースと似たようなイメージです。共用で利用できるオープンスペースや個別ブースがある拠点もあり、自社とも他社ともコミュニケーションがとりやすい環境です。
シェアオフィスのメリットは、初期費用やランニングコストがともに低いことです。月額費用が5万円程度から利用でき、家具や内装も整っているため、初期費用も少ないです。また、多様な業種の人々との交流が可能で、ネットワーキングやビジネスチャンスの拡大が期待できます。
デメリットとしては、プライバシーが確保しづらい点が挙げられます。また、共用スペースが多いため、集中しづらい環境になる場合があります。
通常の賃貸オフィス
通常の賃貸オフィスは、内装工事や家具の手配が必要な、独立した専用スペースです。自由にレイアウトを設計できるため、オリジナリティのあるオフィスを作ることが可能です。
このオフィスタイプのメリットは、カスタマイズ性の高さです。自社のブランドイメージに合わせた内装やレイアウトを自由に設定できます。また、完全に独立したスペースなので、プライバシーが確保されやすいです。
デメリットは、初期費用が高いことです。内装工事や家具の購入が必要で、コストだけでなく、手間と時間がかかります。資金調達などでコストに余裕があるスタートアップ企業であれば、自社のいろに合わせたオフィスをつくれるため、おすすめです。
居抜きオフィス
居抜きオフィスは、前テナントが残した内装や設備をそのまま利用するオフィスタイプです。すでにオフィスとしての内装が整っており、一部物件では家具も引き継ぐことができるため、すぐに業務を開始できる可能性があります。
レンタルオフィスやシェアオフィスのように、他社との共用スペースが多いことが気になるスタートアップ企業の方には居抜きオフィスをおすすめしています。
居抜きオフィスのメリットは、初期費用が大幅に抑えられることです。内装工事が不要で、家具が引き継げた場合は。また、表層のリニューアル工事を行うことで、自社に合ったオフィス空間を作ることができます。また、グレードの高いレンタルオフィスに入居するよりもランニングコストを削減できる点も魅力です。
デメリットとしては、前テナントの内装レイアウトやデザインが自社に完全にマッチするオフィスが少ない場合がある点です。また、レンタルオフィスやシェアオフィスと比べて、他社との交流の機会が減ってしまう可能性もあります。
オフィス選びでチェックするべきポイントとは?
スタートアップ企業がオフィスを選び、契約する際にはさまざまなポイントをチェックすることが重要です。設備やセキュリティ、そして立地条件など、多角的に検討することで、最適なオフィスを見つけることができます。
基本的にスタートアップとして、最初のオフィスに居続けることは良い傾向ではありません。そのため、最初からオフィスや備品にコストをかけることはやめましょう。
このセクションでは、物件選びや契約のタイミングで、スタートアップ企業が特にチェックしておくべきポイントを詳しく解説します。
物件探し前に決めておくべきポイント
- 契約期間
- 人員計画や事業計画を基に、今後どのくらいの期間そのオフィスを利用する予定かを検討しましょう。利用期間によって、最適なオフィスタイプが異なります。例えば、契約後2年間は解約できないオフィスや、退去通知の期限が1ヶ月前でOKな物件もあれば、6ヶ月前までに通知が必要な物件もあります。このような契約条件も考慮し、オフィスの利用期間を決めておきましょう。
- 利用人数
- 現在の人数ではなく、将来の増員も考慮してオフィスを選びましょう。利用人数×3坪が必要な広さの目安とされています。
- 利用時間
- 24時間利用が必要か、または20時以降の空調使用に別途費用がかかる物件もあるため、自分たちの利用時間がどれくらいなのか、事前に考えておきましょう。
- 予算
- 賃料だけでなく、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用も含めた予算を設定しましょう。これにより、予算オーバーを防げます。
基本事項におけるチェックポイント
- 立地・交通アクセス
- 事業内容のイメージに合った立地であること、また、自宅からのアクセス、社員のアクセス、取引先へのアクセス、新幹線利用や飛行機利用がある場合は各駅や空港までのアクセスなどを総合的に考慮して、選択しましょう。
- 賃料
- 坪単価1万円台を目安に探し始めることをおすすめします。最初から完璧なオフィスを求めるのではなく、次回の移転までの準備段階と考えて、コストをかけすぎないことが大切です。
- 事務所利用が可能な物件かどうか
- 実は、すべての物件が事務所利用できるわけではありません。自宅を事務所としている方も多いですが、それはSOHO(SMALL OFFICE HOME OFFICE)利用が可能な物件に限られます。希望している物件が事務所利用が可能かどうかははじめに確認しておきましょう。
設備面におけるチェックポイント
- 会議室の数
- 会議室は、経費削減の観点からみても1部屋あれば十分でしょう。業務のほとんどが来客対応である場合は、2部屋以上、もしくは他社と共用で利用できる会議室があるレンタルオフィスやシェアオフィスの検討をおすすめします。
- トイレ
- 男女別トイレの有無を確認しましょう。これは労働安全衛生規則第628条と事務所衛生基準規則第17条で定められているため、必ず確認が必要です。特に多様な人材を採用するスタートアップ企業にとって、共用ではなく、男女別トイレが設置されていることは重要なポイントです。
- セキュリティ
- 特にスタートアップ企業の中でも、知的財産や顧客データなどの重要な情報を扱う場合は、セキュリティ対策が欠かせません。入退室管理システムがあるかも重要です。
- ネットワーク環境
- 通常の賃貸オフィスや居抜きオフィスなど、自社専用のオフィスの場合は、光ファイバーなどの高速インターネット回線が利用可能かどうかを確認しましょう。レンタルオフィスやシェアオフィスの場合は、ネット回線の速さや、自社専用のネットワークを確保することができるかなども確認しておきましょう。
おすすめの内装付きオフィス
スタートアップ企業におすすめのオフィス物件を具体的に紹介します。
中央区勝どき 約20坪
駅直結の好立地にある、小規模の居抜きオフィスです。10名用会議室が設置されており、来客があるスタートアップ企業でも問題なく利用することが可能です。また、個別ブースも設置されており、場所を選んで働ける環境が整っています。
渋谷区宇田川町 約20坪
渋谷エリアに希少な居抜きオフィス区画です。6名用会議室が設置済み、またオフィス家具の譲渡も相談可能であるため、ご移転までの手間を最大限に削減することが可能です。6階建てビルの最上階に位置する、非常に使い勝手のよい内装付きオフィスです。
港区虎ノ門 約15坪
虎ノ門エリアに位置する希少なSOHO区画です。屋上にはスカイラウンジが設置されており、リフレッシュスペースとしても活用することが可能です。執務スペースは住居仕様となっていますが、こちらの物件は法人登記も可能です。
こちらでご紹介した物件以外にも、スタートアップ企業におすすめのオフィス物件はございます。物件一覧をご覧になりたい方は以下よりご確認ください。
まとめ
スタートアップ企業のオフィス選びは、企業の成長と社員の働きやすさに直結する重要な決定事項です。本記事では、賃料相場や選び方の基準、チェックポイント、そしておすすめのオフィスタイプと物件を紹介しました。特に、居抜きオフィスは初期費用を抑えつつ、自社に合ったオフィス環境を実現するための賢い選択肢です。
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