オフィス移転費用を削減する方法として、「居抜きで退去」しての移転が注目されています。
工事の手間を省いて費用も抑えられる点が魅力です。ただ、退去についてはいくつか押さえておきたいポイントがあります。居抜きのメリットとあわせて、オーナーとの交渉など、退去時の手順についても見ていきましょう。
居抜きでオフィスを退去するってどういうこと?
居抜きでのオフィス退去とは、テナントがオフィスを退去する際に、オフィス内の設備や内装、家具などをそのままにして、次のテナントに引き渡すことを指します。
通常、テナントがオフィスを退去する際には、オフィスを原状回復(退去前の状態に戻すこと)することが求められることが多いですが、居抜きでの退去はその必要がない場合があります。
居抜きでオフィスを退去するメリット
オフィスの移転に伴う退去に居抜きを選ぶメリットは大きく3つです。
- 原状回復費用の削減
- 退去にかかる時間の削減
- 次のテナントへの付加価値
原状回復費用の削減
居抜き退去は原状回復費用を節約することが期待できます。通常、退去時には賃借人が原状回復して明け渡すように規定されています。タイルカーペットやクロスの張り替え、電灯の交換等、借りたときの仕様に戻す必要があるのです。居抜きで退去する場合は、次のテナントに原状回復義務を承継する形になるので、原状回復費用を大幅に削減出来ます。
退去にかかる時間の削減
原状回復の作業が不要なため、退去のプロセスがスムーズに進行することが期待できます。
次のテナントへの付加価値
新しいテナントにとっては、既に整ったオフィス環境をすぐに利用できるため、新規開設の際の手間やコストを削減できます。
居抜きでオフィスを退去するデメリット
オフィスの移転に伴う退去に居抜きを選ぶデメリットは大きく2つです。
- 居抜き退去が認められない場合もある
- 賃貸主と事前に協議をする必要がある
居抜き退去が認められない場合もある
契約内容によっては、居抜きでの退去が認められていない場合もあるので、退去前に賃貸契約をよく確認することが必要です。
賃貸主と事前に協議をする必要がある
居抜きでの退去を希望する場合、必ず賃貸主と事前に協議をすることが重要です。同意が得られない場合、元の状態に戻す必要があります。
居抜きで退去する方法
居抜きで退去するには、貸主から承認を得なければなりません。承諾を得ずに後継テナントを探すとトラブルの原因となることがあります。内装をそのまま引き継ぐにしても無断で行う事は出来ません。基本的に居抜き退去の承認をもらうには、原状回復義務を承継してくれる入居者を見つける必要があります。賃料などに賃貸条件も改めて設定することになります。また、後継テナントを探す期限は原状回復工事の発注期限までというのが一般的です。後継テナントが見つからない場合は契約書に定められた内容で原状回復をしなければなりません。
以上の条件でオフィスを利用してくれる方の募集をかけ、マッチングを行わなければなりません。募集に関してはコンサルティング会社に相談されることをおすすめします。
もともと、退去時には原状回復が必要である契約だったとしても、新しい入居者がいるのであれば、オーナーが居抜き退去を承認してくれる可能性があります。オーナーにとって、空白期間が生まれない状態で次の入居者が決定するため、募集や工事、手続き等のコストが大幅に削減されます。むしろ、工事をして原状回復したり、募集で新しい入居者を見つけたりする時間を考えると、居抜き退去で新しい入居者を見つけてくれた方が、オーナー側としては時間短縮にもなり、メリットが多いです。うまくいけば、居抜き退去は「オーナー」「退去者」「入居者」全員に利点のある方法と言えるでしょう。
居抜きでオフィスを退去するにあたって、どういったメリットデメリットがあるのかを把握しておいた方が良いのは間違いありません。そして、居抜きで退去する方法や造作譲渡契約についても頭に入れておいた方が良いでしょう。肝心となるのは入居する際に退去時についての話し合いをオーナーとしておくことです。入居時に抜かりのない対応をしておけば、退去時にスムーズにオーナーと話し合いができて、トラブルを未然に防ぐことができます。