居抜き物件は、初期投資を抑えて新たなビジネスを始める際の魅力的な選択肢として注目されています。
しかし、その特性上、予期せぬトラブルに直面することも少なくありません。この記事では、居抜き物件を利用する際に知っておきたいポイントと、実際に発生したトラブル事例をもとに、その回避策や対処法を詳しく解説します。
居抜き物件を安心して利用するためのノウハウを身につけ、成功への第一歩を踏み出しましょう。
居抜き物件とは?
居抜き物件は、近年の不動産業界で注目される形態の一つとなっています。特に新規での事業開始や店舗展開を考える際に、そのメリットを活かして選択されることが増えています。
居抜き物件の定義と特徴
居抜き物件とは何か?
居抜き物件とは、前のテナントが使用していた設備や内装をそのまま引き継ぐ形で賃貸される物件のことを指します。これは、前のテナントが退去する際に、内装や設備を撤去せずに次のテナントにそのまま引き渡す形態を取るため、この名前がついています。
居抜き物件の特徴
- 初期投資の軽減
居抜き物件の最大のメリットは、既存の設備や内装を利用できるため、新たな設備の導入や内装工事のコストを大幅に抑えられる点です。これにより、初期投資を軽減し、事業のリスクを低減することが可能となります。 - 迅速な営業開始
既に設備や内装が整っているため、少ない手間で営業を開始できるのも大きな特徴です。これにより、新規開店や事業展開のスピードを上げることができます。 - 運営の制約
一方で、居抜き物件のデメリットとして、前のテナントの残した設備や内装に合わせて運営する必要がある点が挙げられます。これにより、自由度が制限されることがあるため、物件選びの際には、その制約を考慮する必要があります。
居抜き物件のメリットデメリットとスケルトンとの違い
居抜き物件とスケルトン物件は、賃貸物件としての選択肢の中で、それぞれ異なる特徴を持っています。以下で、それぞれの特徴やメリット、デメリットについて詳しく解説します。
居抜き物件のメリットとデメリット
居抜き物件は、多くの場合、新たな事業展開や店舗開業において有利な条件を提供しますが、一方で注意が必要な点もあります。
- 初期費用の削減が可能
- 即時の営業開始が可能
- 前テナントの設備や内装に合わせる必要がある
- 隠れたトラブルがある可能性がある
詳しくはこちらの記事でご紹介していますので、参考にされてみてください。
スケルトン物件と居抜き物件の違い
スケルトン物件と居抜き物件は、物件の内装や設備における状態において大きな違いがあります。
- スケルトン物件
スケルトン物件は、内装や設備が一切ない状態の物件です。壁、床、天井など、基本的な構造は備えているが、それ以外の部分は空白状態となっています。テナントは自身の用途に合わせて全ての内装や設備を新たに構築する必要があります。 - 居抜き物件
居抜き物件は、前のテナントが使用していた設備や内装をそのまま引き継ぐ形で賃貸される物件です。前のテナントの内装や設備が一部残されているため、新規のテナントはこれを利用しつつ、自身の用途に合わせて調整を行うことができます。これにより、初期投資を削減できる一方、制約も生じることがあります。
このように、スケルトン物件と居抜き物件は、物件の状態や利用の柔軟性において異なる特徴を持っています。選択する際には、自身のビジネスニーズや予算に合った選択を検討することが重要です。
居抜きオフィス物件トラブルの事例
居抜きオフィス物件を活用するには様々なメリットがありますが、中にはトラブルに巻き込まれてしまったという場合もあります。実際に弊社でお手伝いさせていただいた案件で起きたトラブルをご紹介していきたいと思います。
設備関係のトラブル
居抜きで承継する対象物として、空調や照明、音響設備などを引き継ぐ場合があります。その場合、設備は残置物として承継することになります。設備に故障が発生した場合、後継テナントの費用負担で修理することになります。引き渡しを受ける前に、動作確認しておきましょう。
引き渡し状態が合意条件と異なるトラブル
実際に引き渡しを受ける際に、造作の状態や什器の種類、数が異なり、トラブルになるケースがあります。
承継のやり取りは書面で行うことをベースとすることがおすすめです。什器リストは前テナントが作成し、後継テナントがリストをもとに要・不要のリクエストを出すのが一般的です。什器リストにはメーカー・品番・色・個数などを記載し、写真を添付するのが望ましいです。
各種書面の締結タイミングに関するトラブル
居抜きでの引き渡しの際には、以下のような書面を取り交わします。
- 賃貸借契約書:賃貸人ー新賃借人で締結
- 原状回復義務に関する覚書:賃貸人ー新賃借人で締結
- 合意解約の覚書:契約終了時期が早まる場合、賃貸人ー旧賃借人で締結
- 資産譲渡契約書:新賃借人ー旧賃借人で締結
契約のタイミングはすべて同時に締結することをおすすめします。いずれかの契約を先に締結してしまうと、他の契約内容について”変更”が生じると、不利な状況になってしまう可能性があるためです。
退去時の原状回復費用についてのトラブル
居抜きは”原状回復義務”を引き継ぐのが原則です。将来的に発生する原状回復工事費用がいくらくらいなのか、現時点での概算見積もりを把握しておきましょう。高額な費用をかけた内装は、退去の際の費用も高額になるケースがあります。
居抜き物件トラブルの予防と対策
居抜き物件は、前のテナントの設備や内装を引き継ぐ形で賃貸される物件です。この特性上、様々なトラブルが発生する可能性があります。以下に、その予防策と対応策を詳しく解説します。
トラブル予防のチェックポイントと解決策
- 退去時に発生する可能性のあるトラブルの予防策
退去時には、原状回復の義務や退去時の清掃費用など、様々な費用が発生する可能性があります。契約時にこれらの費用や手続きについて明確に確認し、後々のトラブルを避けるための取り決めをしておくことが重要です。 - 設備や内装の問題への対策
居抜き物件の場合、前のテナントが使用していた設備や内装がそのまま残されていることが多いです。内見時には、水回りの設備や電気設備などを徹底的にチェックし、故障や不具合がないかを確認することが必要です。また、必要な修理や交換は契約前に行うか、契約時にその旨を明記しておくことがおすすめです。 - 賃貸条件の確認と内見時にチェックすべき項目
賃貸条件や契約内容には、家賃の金額や支払い方法、更新料、保証金など、多くの項目が含まれます。これらの条件を詳細に確認し、不明点や疑問点がある場合は契約前に確認しておくことが重要です。また、内見時には設備や内装の状態をしっかりとチェックし、必要な修理や交換がある場合はその旨を契約書に明記しておくことがおすすめです。
困った時の相談先とその対策
- 弁護士や不動産相談センターへの相談方法
居抜き物件に関するトラブルが発生した際、専門家のアドバイスや支援を受けることで、適切な対応を取ることができます。弁護士や不動産相談センターは、契約内容の解釈や法的な側面からのアドバイスを提供してくれます。トラブルが発生した際は、早急に専門家に相談することをおすすめします。 - オフィス移転や閉業時の対策を提供する専門業者
オフィスの移転や閉業時には、多くの手続きや対応が必要となります。専門業者に相談することで、スムーズに対応することができるだけでなく、トラブルを避けるためのアドバイスやサポートも受けることができます。 - 具体的な居抜き物件トラブルの解決例
例えば、設備の故障が発生した場合、専門業者に修理を依頼することが一般的です。しかし、修理費用の負担については、契約内容や前のテナントとの取り決めによって異なります。このような場合、前のテナントとの協議を行い、費用を分担することでトラブルを解決することが考えられます。
契約書や賃貸借契約についての留意点
契約書や賃貸借契約は、テナントとオーナー間の権利と義務を明確にするための重要な文書です。この文書には、双方が守るべき約束や条件が詳細に記載されており、後々のトラブルを避けるための基盤となります。
しかし、多くの人々は、契約書の内容を十分に理解せずに署名してしまうことが少なくありません。このセクションでは、契約書や賃貸借契約を結ぶ際に留意すべきポイントや注意事項について詳しく解説します。正確な理解と適切な確認を行うことで、安心して物件を利用するための第一歩として、以下の内容を参考にしてください。
契約における各種料金の確認
契約を結ぶ際、特に賃貸契約においては様々な料金や費用が発生します。これらの料金を正確に理解し、確認することは後々のトラブルを避けるために非常に重要です。
- 礼金
礼金は、賃貸契約を結ぶ際にテナントがオーナーに支払う一時金です。全ての物件で必要とは限りませんが、都市部では一般的に見られる料金です。この料金は返却されるものではないので、契約前にその金額を確認することが必要です。 - 原状回復費用
原状回復費用は、契約終了時に物件を契約開始時の状態に戻すための費用です。通常、テナントが負担するものとなりますが、どのようなダメージや変更が原状回復の対象となるのか、具体的な費用はどの程度かかるのかを契約前に確認することが重要です。 - その他の料金
保証金、更新料、共益費など、その他の料金も契約時に確認する必要があります。これらの料金についても、いつ、どのような条件で発生するのか、返却される条件はあるのかなどを明確に理解しておくことが求められます。
契約書の細部チェックとそのポイント
契約書は、双方の権利義務を明文化したものです。そのため、細部まで注意深くチェックすることが非常に重要です。
- 用語の確認
契約書には専門的な用語が多く使用されることがあります。これらの用語の意味を正確に理解しておくことで、契約内容を適切に把握することができます。 - 期間と更新に関する項目
契約の期間や更新に関する条件は、後々のトラブルの原因となることが多いです。契約期間、更新の条件、更新料などについて明確に確認しておくことが必要です。 - 解約条件
契約を途中で解約する場合の条件や、解約に伴う費用なども重要なポイントです。特に、解約時のペナルティや通知期間などを確認しておくことが求められます。 - 不明確な点や疑問点の確認
契約書を読んでいて不明確な点や疑問点が生じた場合、契約前にそれらの点をオーナーや不動産業者に確認することが重要です。後々のトラブルを避けるためにも、疑問点は放置せずに解消しておくことがおすすめです。
契約を結ぶ際には、上記のポイントを参考にしながら、契約書の内容をしっかりと確認することが重要です。
居抜き物件でトラブルを避け、円滑に利用するためには?
居抜き物件を円滑に利用するためには、まず契約書の詳細確認が必須です。内見時には設備や内装の状態を徹底的にチェックし、隠れたコストや必要な修理を確認しておくことが重要です。
前テナントとのコミュニケーションで物件の実情を知り、専門家の意見を取り入れることで、より安全に利用することができます。適切な保険加入や定期的なメンテナンスも忘れずに。