セットアップオフィス=原状回復不要は間違い!原状回復の定義と具体的な工事内容を徹底解説

セットアップオフィスは、内装工事(一部物件は家具の設置まで)が完了している状態で入居できる賃貸オフィスタイプで、近年ベンチャー企業や中小企業を中心に人気を集めています。セットアップオフィスは「デザイン性が高く」「初期費用を削減でき」「入居までの手間暇を削減できる」ことがメリットとして考えられています。

そんな手軽に業務を開始できる便利な選択肢として人気を集めているセットアップオフィスですが、「原状回復が不要」と誤解されている方もいらっしゃいます。実際には、セットアップオフィスでも原状回復工事が必要な場合が多く、その内容について理解しておくことが重要です。

本記事では、原状回復工事の定義から、セットアップオフィスにおける原状回復が必要な項目など具体的な内容までを詳しく解説します。

目次

原状回復工事とは?

原状回復工事とは、オフィスや店舗を借りた際に、契約終了後に借りた当初の状態に戻すための工事を指します。賃貸借契約書や原状回復要綱に則って、退去時にオフィスを借りた時の状態に戻すことが求められます。この工事は、次の入居者が快適に利用できる状態を保つために重要です。

退去時には、原状回復工事を完了させて貸主に引き渡す必要がありますが、これが間に合わなかった場合、遅延損害金が発生することが一般的です。また、退去が遅れたために次のテナントの入居が遅れた場合、その損害についても賠償が求められることがあります。トラブルを避けるためには、事前に必要な工事内容をしっかりと把握しておくことが重要です。

オフィスの「原状」とはどのような状態?

原状回復工事における「原状」とは、オフィスを借りた時の状態を指します。一般的に、空室の店舗ではコンクリートむき出しの状態をイメージすることが多いですが、オフィスの場合は異なります。オフィスの原状は、壁紙が貼られ、床にはタイルカーペットが敷かれ、天井にはボードが取り付けられていることが一般的です。上記画像のようなイメージです。

セットアップオフィスにおける「原状」とは、借りた時の状態を指します。したがって、会議室や受付スペースの間仕切り壁などはそのまま残して退去できます。これを聞いて「つまり‥セットアップオフィスは原状回復工事が不要では?」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。詳しくは後のセクションで解説します。

原状回復に対する考え方の違い

さて、原状回復とは何か、オフィスにおける原状とはどのような状態を指すのかについて、なんとなくイメージがついたかと思います。それでは、原状回復はどこまで行えばよいのでしょうか?賃貸住宅の原状回復や退去を経験された方が多いため、住宅の原状回復についてはイメージしやすいかもしれません。

しかし、住宅とオフィスの原状回復には大きな違いがあります。

スクロールできます
住宅オフィス
通常損耗の回復不要必要
経年劣化の回復不要必要
故意・過失による損傷の回復必要必要

住宅の場合、経年劣化や通常損耗に関しては、元に戻す必要がないことが多いです。例えば、壁紙の黄ばみやフローリングの色あせなどは、住んでいる間に自然に生じるものであり、これらを修復する義務はありません。しかし、オフィスの場合は異なります。

オフィスでは、経年劣化や通常損耗であっても、すべて元通りに戻して返却することが求められます。これには、壁紙の貼り替えやカーペットの交換、OAフロアの補修などが含まれます。

セットアップオフィス=原状回復不要 は間違い

セットアップオフィスは、内装があらかじめ整っているため、原状回復が不要と誤解されることがあります。多くの人は、セットアップオフィスなら退去時のコストや手間が大きく省けると考えがちですが、実際にはそう簡単ではありません

確かに、オーナー側が設置した間仕切りや配管・配線が見える、いわゆるスケルトン天井になっていた場合、それを元の状態に戻す必要はありません。これは、石膏ボードを貼ってクロスや塗装を施す通常の原状回復作業が不要ということです。しかし、だからといって、全ての原状回復作業が不要になるわけではありません。通常のオフィスで必要とされる基本的な原状回復作業は、セットアップオフィスでも同様に求められます。

セットアップオフィスでも原状回復は『必要』

実際には、セットアップオフィスでも原状回復工事が必要です。

オーナー側が設置した間仕切りやスケルトン天井については解体の必要はありませんが、通常損耗や経年劣化を含む原状回復についてはしっかりと対応しなければなりません。つまり、どれだけきれいに使用していても、契約時の原状回復要項に記載されている内容をすべて完了した状態で貸主に引き渡す必要があります

例えば、カーペットや壁紙の張り替え、照明器具のクリーニングなどが求められます。これらの作業は、オフィスを借りた時の状態に戻すためのものであり、契約時の原状回復要項に基づいて行う必要があります。

つまり、セットアップオフィスだからといって、すべての原状回復作業を免れることはできません。

セットアップオフィスで必要な原状回復項目の例

セットアップオフィスの原状回復は、物件ごとに異なる内容が求められます。基本的には、契約時に定められた原状回復基準(要綱)に従って履行することが原則です。これにより、次の入居者が快適に利用できる状態を保つことが求められます。

具体的には、以下のような項目が含まれることが一般的です。

  • 床の張り替え(カーペット、フローリング等)
  • 壁紙の張り替え・塗り替え
  • OAフロアの補修
  • 照明器具のクリーニング
  • 貸主側で設置した家具類のクリーニング(破損した場合は交換または修理)
  • 自身で用意した家具類の撤去
  • 追加工事を施した場合は該当箇所の原状回復

これらの原状回復作業は一例で、実際には契約時に定められた原状回復基準に基づいて行う必要があります。

セットアップオフィスでは、通常の賃貸オフィスに比べて大部分の解体作業が不要という特徴があります。また、空調や照明設備の移設工事や復旧、防災工事が削減できるのは大きなメリットです。

ただし、貸主が用意した家具や什器については、クリーニングや破損部分の修理・交換が必要です。さらに、テナントが持参した家具や什器については、原則として自分で撤去しなければなりません。置いていっても良いものはほとんどないため、退去時にはしっかりと計画を立てておくことが重要です。

原状回復に関する項目を遵守しない場合、追加費用が発生する可能性があり、退去時のトラブルを避けるためにも、事前に必要な作業内容をしっかりと把握しておくことが重要です。セットアップオフィスを利用する際には、これらの原状回復基準を理解し、計画的に対応することで、スムーズな退去が可能になります。

解体が不要な分、費用は安くなる?

解体作業が不要なため「セットアップオフィスの退去費用は他のオフィスよりも安くなるかも?」と考える人もいるかもしれません。

しかし、セットアップオフィスの原状回復工事費用は、通常のオフィスと比べて大幅に削減できるわけではありません。確かに、解体作業が不要であるため、その分の費用は削減できます。しかし、解体作業にかかる費用は全体の費用から見るとそれほど大きな割合を占めていません。そのため、解体が不要だからといって、全体の原状回復工事費用が大幅に削減できるわけではないのです。

一方で、もし検討しているセットアップオフィスがスケルトン天井であれば、コスト面で他のオフィスよりもお得な要素が多いと考えて良いでしょう。通常の賃貸オフィスでは、スケルトン天井にするための内装工事が1坪あたり数十万円以上かかり、さらに退去時に元の状態に戻す費用も高額になります。しかし、最初からスケルトン天井のセットアップオフィスを選ぶことで、これらの費用を大幅に削減できます。

原状回復が不要なセットアップオフィスもある

セットアップオフィスの中には、まれに原状回復が不要でクリーニングのみで退去できる物件も存在します。このような物件では、退去時のコストを大幅に削減できるため、特に短期間の利用を考えている企業にとって魅力的です。

ほとんどの物件では原状回復が必要

しかし、ほとんどのセットアップオフィスでは原状回復が必要です。クリーニングのみで退去できる物件は非常に少なく、特に人気が高いエリアや条件の良い物件では、さらに見つけるのが難しいです。このため、通常は契約時に定められた原状回復基準に基づいて、壁紙の張り替えや床の補修、什器のクリーニングなどを行う必要があります。

これらの作業を怠ると、追加費用が発生する可能性があり、貸主とのトラブルを避けるためにも、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

クリーニングのみで退去できる物件の特徴

クリーニングのみで退去できる物件は、退去費用を大幅に削減できる一方で、月額賃料が少し高い傾向にあります

これにより、ランニングコストが増えるため、短期間での利用には適していますが、長期的に利用する場合には費用対効果を慎重に検討する必要があります。つまり、短期的なオフィス利用を計画している企業にとっては、クリーニングのみで退去できる物件を選ぶことで、総合的なコストを抑えることが可能です。

月額賃料と退去コストのバランスを考えましょう

セットアップオフィスの特徴として、内装工事費用や敷金などの初期費用が抑えられるという点があげられます。しかし、一方で月額賃料が高めに設定されていることが一般的です。このため、セットアップオフィスを検討する際にはランニングコストと退去コストのバランスを考えることが重要です。

短期間での利用を考えている場合、クリーニングのみで退去できる物件を選び、月額賃料が少し高くても退去費用を抑えるという選択が有効です。一方、長期間の利用を予定している場合は、通常のセットアップオフィスを選び、ランニングコストを抑えることが賢明です。このように、企業の利用期間や目的に応じて、最適な物件を選ぶことが重要です。

まとめ

セットアップオフィスは便利で手軽に利用できる一方で、原状回復工事が必要な場合が多いことを理解しておくことが重要です。特に、内装の状態や什器の管理については、事前にしっかりと確認し、適切な対応を行うことで、退去時のトラブルを防ぐことができます。原状回復工事の費用や内容を把握し、計画的に準備を進めましょう。

弊社はセットアップオフィス検索サイト「RAKNA(ラクナ)」を運営しており、セットアップオフィスを含めた内装付きオフィスの契約実績は300件以上、累計面積23,000坪以上と豊富な実績を誇ります。物件探しだけでなく、移転目的の策定やその他のサポートも経験豊富なスタッフが対応させていただきます。セットアップオフィスへの移転をご検討されている方は、まずはお気軽にご相談ください。移転の成功に向けて、全力でサポートいたします。


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この記事を書いた人

マーケティング事業部主任として、オフィス移転に関する専門知識を提供しております。映像制作の経験から転職し、オフィス移転の営業事務として入社し、その後、マーケティング事業部に異動いたしました。当サイトでは、オフィス移転についての基本から具体的な事例、賃料推移データなどをわかりやすく解説し、オフィス移転初心者の方々にとって有益な情報を提供することを目指しております。お読みいただいた記事が、オフィス移転に関する理解を深めるお手伝いになれば幸いです。