定期借家契約とは契約期間に定めがあり期間満了によって更新されることなく契約が終了するという賃貸契約のことを指しており、賃貸期間に関して貸主の都合が優先されるという非常に大きな特徴があります。
定期借家契約は、貸主が借主を募集する際予め貸主自身が一定の賃貸借期間(1年未満の短期契約であっても有効)を定めることになっています。契約締結においては、貸主が借主に対し期間に定めがあるという旨を書面において説明しかつ書面による契約を交わすことが必要とされています。
貸主は期間中に借主に対して契約期間満了日の6ヶ月から1年の期間において契約満了の通知を行わなくていけません。その後契約期間満了によって定期借家契約は終了し、借主が退去するという流れになっています。
定期借家契約には、原則契約の更新がありませんし期間内の途中解約もできません。いったん定期借家契約を結んだら、その期間中は必ず借り続けなければならないのです。反対に借主がその物件に続けて住み続けたいという希望があるなら、双方合意の元で再契約する事は可能です。貸主は借主に対して、立ち退き料を支払うことなく退去してもらうことできるということでもあります。
従来の普通借家契約においては、貸主は正当な事由がなければ借主との契約更新を拒否することができません。これは借地借家法28条に明記されており、借主が契約拒否を希望する場合には契約解消において非常に困難が伴います。普通借家契約ではあくまで借主が優先であるため、契約解消をするためには当然のことながら立退料が必要です。そのため貸主は、普通借家契約を締結する際に借主に多額の賃料や保証金等を要求する場合があり、それが良質な借家の供給を阻害しているという指摘がされています。
定期借家契約が新設されたのは、そういった対策でもあります。この借家制度は、平成12年3月1日から「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」として施行されています。
たとえ定期借家契約を結ぶ際に「再契約可」などと募集図面に記されていたとしても契約における貸主優先の原則は変わらず、貸主が望まない限り再契約の保証はありません。