多目的トイレが設置された経緯

多目的トイレは、誰もが使えるようにユニバーサルデザインが施されたトイレで、多機能トイレとも呼ばれています。
当初の多目的トイレは、一般的なトイレでは排泄や排尿で健常者よりも時間を要したり、用をたすのが困難な障がい者や車椅子利用者、高齢者向けトイレとして設置されましたが、ハートビル法や交通バリアフリー法の成立や改正により、人工肛門を利用している方も対象に含まれました。またおなかの大きな妊婦さんや母親が赤ちゃんのオシメ交換にも対応する多目的化が進んでいます。
これらの理由から、一般的なトイレよりもスペースが広く確保されているためトイレのドアから便器までかなりの距離があり、便器だけでなくオストメイト利用者用の汚物流し場、赤ちゃんのおしめ交換台となるベビーチェアなどの設置も増えました。

ハートビル法

ハートビル法では、足腰の弱った身障者や高齢者がスムーズに利用できるよう学校や病院・診療所、展示場、ホテルや旅館、劇場など20以上の特定建築物を指定し、施設に1つないし階層ごとに1つの多目的トイレの設置を定めています。また交通バリアフリー法では、オストメイト(人工肛門)利用者の対応したトイレを建物に1つは設置することを定めています。

設置基準

この2つの法律の基づいて多目的トイレが設置されており、車椅子で余裕を持って方向転換できるスペースの確保、洋式便所の設置、車椅子から便座へ移動するための手すりの設置、手すりや収納ボックスの設置位置が車椅子による移動や方向転換の妨げにならない、オストメイト利用者用汚物流しの高さ、それぞれの設置スペースや間隔、幅などのおおよその基準が定められました。
小規模なオフィスビルではあまり見かけませんが、中規模なオフィスビルや高層オフィスビル、大規模複合商業施設にあるオフィスでは、多目的トイレを設置すべき特定建築物に指定されているため、1つの階に1つ以上の多目的トイレが設置されています。

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