店舗やオフィスにおいて、家具や設備や什器などが付いた状態で売買または賃貸借されることを居抜きと言います。飲食店や旅館などで多くみられる取引形態です。賃貸オフィスでは借主は移転する時に原状回復義務があるため、パーテーションの撤去や壁・天井・床の汚れ改修等、入居前の状態に借主負担で戻す必要があります。
但し居抜きが成立すると、オーナー、入居者、退去者の3者それぞれにメリットがあります。居抜きは、無駄な廃棄をしないというエコの観点からも注目を集めています。
まずオーナーのメリットですが、次の入居者の募集がかけやすくなります。内装の付いたオフィスとして他の競合物件とは違った訴求感を出すことが出来るのがその理由です。募集期間が短くすめはその分賃貸収入も得やすくなります。
次に入居者のメリットですが、当然ながら初期費用を抑えることが可能です。内装施工期間が省けることで、その間に発生するはずだった賃借料も削減できます。何より、契約後早期に業務を開始出来ることが最大の魅力です。居抜き物件によっては、既存の部材を活用して間取りを変更したり表装の変更によって雰囲気を一新させることもできます。
最後に退去者のメリットですが、通常かかる原状回復費を削減できます。内装をそのままの状態で退去出来ることから、修復は主だった汚れ程度で済みます。また修復期間も短く済むことから、トータルの契約期間短縮にもつながります。
以上のメリットがある一方、注意点もいくつかあります。内装やレイアウトがほぼ固まっている為、厨房やトイレといった水回りの施工がしにくい側面があります。また、引き継いだ設備が古いため、使うことが出来ずに新たに買い足さなければならなくなるケースも出てきます。
ですから居抜き物件を選択する際にはしっかりと見学し、イメージに近いレイアウトになっているかどうか、什器や家具や設備は使える状態かどうかをしっかりと見極めることでリスクを回避していきます。