建物をいかなる用途で使用するかによって、空調についても使い方が異なってきます。建物に複数の会社が同居する場合であれば、それぞれの会社によって、始業・終業時刻が違うので、それぞれに空調を設置したほうがそれぞれの会社にあった使い方ができます。空調設備の使用開始や使用終了をそれぞれの会社に合わせて使うことができるので、空調についてもそのような設置方法が適しています。これを個別空調といいます。これに対し、一つの建物を同じ会社が使用する場合は、その会社の方針によって始業・終業時刻は、原則として統一されているでしょうから、空調設備についても、建物やフロアの一か所に設置し、空調設備の使用開始や使用終了を統一することが、その会社の方針に沿っています。設備管理の面からみても、複数の場所に空調設備があるよりも、一か所に空調設備があるほうが管理がしやすいです。これを、セントラル空調といいます。
例えば、賃貸しているオフィスにおいて、セントラル空調設備の建物では、9時から18時までは空調設備を自由に使うことができ、その費用については、共益費の中に含まれている場合があり、その時間帯に会社の営業時間が大体終わる場合には、経済的にはお得な結果となります。しかし、残業の多い会社においては、18時以降の空調使用費用については、割高な料金の個別精算となるため経済的な負担が大きくなります。その場合は、先の個別空調のほうが使用した空調使用量に見合った個別精算となるので、経済的には負担は軽くなります。通常使用している空調の時間や費用が、実際どのくらいかかっているのかを十分精査することにより、個別空調の建物がよいのか、セントラル空調の建物がよいのかを判断する基準になります。セントラル空調のメリットは、始業・終業時刻のほぼ同じ会社や、管理のしやすさを求める場合に経済的な面で効果があります。時間外使用が少ない場合や設備管理の軽減を考える場合は、セントラル空調がお勧めです。