賃貸オフィスを借りる際の初期費用の一部として、敷金、礼金、保証金があります。
礼金制度は賃貸オフィスではあまり導入されていませんが、大家へのお礼の意味を持つお金で、退去時にも返金はされません。概ね賃料の1~2カ月が相場です。
敷金は入居者を変更するための手数料や、家賃の滞納が発生した時の対応費用、退去後の原状復帰の原資などに使われるお金です。入居者が予め支払っておくことで大家の側は安心して賃貸できるようになります。
オフィスの敷金は住居用よりも高く、概ね賃料の6~12カ月分が相場となっています。賃貸契約の終了時には、入居中に滞納がなく、物件の損傷についても通常の使用で発生するレベルのものであれば原則として全額返金されますが、住宅と同じように、オフィスでも不当な敷金の減額がしばしば問題になっています。
敷金制度は関東を中心に行われている制度であり、関西や中国地方、九州地方では敷金に代わるものとして保証金の制度があります。保証金も敷金と同じようなものですが、物件の使用状況に関係なく、一部を返却しない特約を結ぶことが多いです。「敷引3カ月」などの形で物件の概要に記載されています。
近年は関東でも敷引の制度を取り入れるオーナーが増えています。敷引を導入することで礼金分のお金をペイでき、礼金無料というアピールポイントを作るケースが見受けられます。入居者にとっては初期費用が上がる理由になりますが、敷金や保証金が無い物件は原状復帰の原資が無いことから退去時にトラブルになることが多く、安心料として考えておくべきです。
オフィスとして物件を利用する場合、住居とは違い、ある程度長い期間の利用を前提としますが、保証金や敷引きの金額が大きい場合、毎月の賃料が安くても全体のコストが高くなるケースがあります。物件特有の初期費用を含めてしっかりと把握し、賃料と合わせたひと月当りの必要な金額、いわゆるみなし賃料を計算して物件を選びましょう。