港区の主な新築オフィスビル、再開発計画について
1. 【再開発】はじめに
都心で急増している大規模な再開発は、国による規制改革を総合的かつ集中的に推進し、産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動の拠点形成の促進を図る「国家戦略特区」制定により加速しています。
なかでも最先端の文化エリアとして位置づけられた港区は、進行中の開発総面積がトップで、近未来型国際都市へと目覚ましい変貌をとげています。ここでは港区内の現在計画されている主な大規模開発を紹介いたします。
2. 日比谷線新駅の再開発について
虎ノ門ヒルズ周辺の開発が、国家戦略特区の予定事業として森ビルによって進められています。
日比谷線の新駅と3つの大型ビルの建設計画で、日比谷線の新駅「虎ノ門新駅(仮)」は日比谷線の霞ケ関駅と神谷町駅の間に、2016年2月工事着工、2020年のオリンピック前に運用が開始され、2022年に完成予定となっています。
現在、このエリアには2014年に森ビルが建設した「虎ノ門ヒルズ」がそびえ立っていますが、電車で行くには「虎ノ門駅」か「神谷町駅」から行くのが最寄りで、どちらもあまり近くなく、「虎ノ門新駅」が完成すると「虎ノ門ヒルズ」は駅直結となり、より一層発展し利用者も多くなると思われます。
また、「虎ノ門ヒルズ」の下を通っている環状2号線は、築地市場の豊洲移転完了後に開通が予定されており、臨海部へのアクセスも良くなることが予想されます。
虎ノ門ヒルズ周辺に新たなビルを3棟建設する計画は、
「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(仮称)」:オフィス中心、2019 年度竣工予定
「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー(仮称)」:住居中心、2019年度竣工予定
「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(仮称)」:新駅と一体開発、2022 年度竣工目標
上記3棟の高層タワーが加わることで「虎ノ門ヒルズ」は区域面積が7.5ヘクタール、延床面積が80万㎡となり、六本木ヒルズに匹敵する規模になります。
3. 海岸エリアの再開発 浜松町・竹芝エリア
浜松町エリアは再開発が比較的活発でないエリアでしたが、世界貿易センタービルの建て替えを含む「浜松町二丁目4地区計画」などを初めとして、複数の大規模な再開発プロジェクトが進行しています。
浜松町二丁目4地区計画
浜松町駅西側の約3.2ヘクタールの土地には、シンボルタワー「世界貿易センタービル」(本館)の建て替えを含め、複合ビル5棟を建設する計画があり、現在、先行して「ニッセイ浜松町クレアタワー」地上29階、地下3階、高さ156m、延面積約9万9,300㎡のオフィスビルが2018年8月竣工、本館の隣には巨大な南館が2021年1月完成を目処に建設中です。本館は南館完成後に解体し新しいビルになります。この本館が完成する予定の2027年末には、「世界貿易センタービル」はJRとモノレール、そしてバスターミナルも新しくさらに便利になり、国際会議場の整備や外国人滞在者の支援機能も備えた国際ビジネスセンターになります。
竹芝地区再開発計画
浜松町駅の東側、竹芝エリアでは、高速道路の先の約1.5ヘクタールの土地に、39階建ての業務棟と21階建ての住宅棟を合わせた施設が建設中です。竣工は2020年5月。東京都が行う「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の一つで、国家戦略特区の事業として認定されています。大規模な緑化テラスや浜離宮・東京湾を一望できるラウンジも作られます。オフィスフロアは基準階面積が約800坪、貸室総面積は約27,800坪です。浜松町駅から徒歩4分、竹芝駅徒歩2分、大門駅徒歩5分、浜松町駅からはペデストリアンデッキを建設中です。
竹芝ウォーターフロント開発計画
さらに海際では、ホテルや劇場がある竹芝ウォーターフロント開発計画が進行中で、高級ホテル・オフィス・商業施設等の入った複合ビルと劇団四季の劇場[春]・[秋]、そして屋外広場などが一つにまとまった文化・芸術を核とした新たなエリアになります。2020年春以降段階的に開業する計画です。
(仮)芝浦一丁目計画
「浜松町ビルディング(東芝ビル)」とその周辺エリアの開発も計画されています。2020年度から約10年かけて、オフィスや商業施設・ホテル・住宅などを含めた新しいビジネス・観光拠点として生まれ変わり、それに付随して小型船ターミナルなど観光スポットの整備も行われます。
4. 虎ノ門駅周辺の再開発
虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業
虎ノ門駅前では、東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅の機能拡充とバリアフリー化をはかり、地上・地下の駅前広場を整備するとともに、業務・商業機能の質的高度化等による国際的ビジネスセンターとしての機能強化やにぎわいの創出、さらには虎ノ門駅前の顔づくり等、多様な都市機能を集約した魅力と個性ある複合市街地の形成による国際競争力の強化を図ることをコンセプトとして、2020年6月の竣工を目処に大型複合施設の建設が進められています。地上24階、地下3階、総専有面積約26,400㎡のオフィスビルは、5階~23階は高規格なオフィス、4階にはカンファレンスがあり、地下1階~地上2階には駅前の核となる店舗が誘致される予定です。
5. 泉岳寺駅周辺の再開発
羽田空港へのアクセスなど広域的な結節機能を担っている泉岳寺駅は、空港需要の増大に伴いその重要性が高まっており、同駅に直結する再開発ビルの建設計画が進んでいます。
再開発の対象は泉岳寺駅東側の1.3ヘクタール。同時に国道15号直下にある泉岳寺駅の機能強化を図るため、地上の民有地を新たに取得し、浅草線のホームやコンコースの拡張、エレベーターの増設なども計画されています。再開発ビルは延床面積11万平方メートル、高さ160メートルの規模で、住宅350戸のほか、業務・商業機能、収容台数250台の駐車場を設置する予定で、2024年度の事業完了を想定しています。
6. 六本木・麻布台の再開発(森ビル中心)
虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業
地下鉄日比谷線神谷町駅および南北線六本木一丁目駅周辺でも森ビルが中心となって再開発事業が行われています。東京都港区虎ノ門五丁目、麻布台一丁目及び六本木三丁目の約8.1ヘクタールで、隣接する「アークヒルズ仙石山森タワー」を始めとする計画的な街づくりが進められてきたこのエリアでは、
- 街区再編と一体となった都市基盤の整備
- 様々な人々が住み続けられる生活環境整備
- 多種多様でみどり豊かな都市空間の整備
- 災害対応力の強化とまちの環境性能の向上
上記4ポイントに注力して、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに、居住機能と商業・業務・文化・教育等の各機能が複合した、国際性豊かで安全・安心な緑とうるおいのある複合市街地の形成を目指し、2023年3月の竣工を目標に事業が進められています。
神谷町駅と六本木一丁目駅を地下通路でつなぎ、地上65階、地下5階、延床面積361,000㎡、用途:住居・事務所・店舗・子育て支援施設・インターナショナルスクールの連絡通路に直結したビルを中心に、やはり通路に直結した地上63階、地下4階、延床面積116,700㎡の住居と事務所を中心としたビル、地上53階、地下5階、延床面積103,700㎡の住居と店舗を中心としたビル、地上8階、地下3階、延床面積22,200㎡、用途:住居・事務所・店舗のビル、周辺に低層階のビル3棟が建設される予定です。
7.再開発マップのダウンロード
都心主要エリアの再開発マップを以下からダウンロードすることができます。
今後のオフィス戦略のご参考にしていただければ幸いです。