オフィスのまた貸しはしてもいい? 転貸借の考え方
オフィスの賃貸形式の中には転賃借というものもあります。サブリースの別名で呼ばれることもあります。借りているオフィスをさらに他人へ貸し出すというのは合法的なものなのでしょうか?また、最近話題のシェアオフィスもまた転賃借なのでしょうか?気になるオフィスの転賃借について説明します。
マスターリースと転貸借(サブリース)とは
マスターリース契約とは、オフィスビルなどの建物を所有者が賃借人に一括して賃貸する契約です。所有者は個人や中小企業であることが多く、賃借人は不動産デベロッパーというのが一般的です。1980年代頃から多く広がり、マスターリースの契約期間は20年というのが一般的です。地主が、賃貸経営を不動産デベロッパーに一任して、最低保証賃料を受け取るというスキームがこのマスターリース契約です。
転貸借(サブリース)とは、いわゆる「また貸し」のことですが、上述のようなマスターリース契約からの転貸借は、賃借人が入居テナント(転借人)にフロア単位もしくは区画毎に転貸することになります。ちなみに、マスターリースの契約期間が満了した場合は、賃借人が変更になるか、所有者と入居テナントが直接契約をすることになります。
最近は、建物を一括ではなく、複数フロアや、フロア単位で賃借し、転借人に転貸するというパターンも増えてきています。但し、これらは前述のように不動産会社が賃借人(転貸人)となっているケースが一般的です。
転貸借と同居の違いは
企業がテナントとして入居する際に注意しなければならないのが、転貸もしくは同居です。子会社や関連会社などと一緒に入居したい場合というケースはよくあることです。しかし、通常の賃貸借契約では転貸を禁止しています。理由としては、転貸では借家権が発生するためです。借家権が発生することで考えられるリスクはどのようなことがあるのでしょうか。賃借人(契約者)が退去した場合、転借人は借家権を主張して居座ることができてしまいます。
そのため、グループ会社などが入居する場合は『同居』という扱いにするのが一般的です。同居に関して覚書を締結し、契約者が退去した場合は同居人も退去するという内容を定めておきます。また、同居人の責めに帰すべき事由での破損や汚損は契約者の責任とすることが一般的です。
転貸を無断でしてしまうと
民法第612条では賃借人が賃貸物件を勝手に転貸することを認めていません。賃借人が家主に無断で転貸を行った時、賃貸契約を解除される可能性があります。
間借り・シェアの考え方
最近は、事務所の間借りやサービスオフィス、シェアオフィスが話題を呼んでいます。いくつかの会社で事務所をシェアすればコストを削減することもできるでしょう。特にシェアオフィスはアイディアや情報を交換できたり、異業種と交流するきっかけにもなり、そのメリットは少なくありません。特にまだ事業を始めたばかりの小さな企業でも、シェアオフィスを利用すれば都心の一等地に居を構えることも不可能ではないなど、大いに注目されています。
このような場合は、転貸借契約ではなく、サービス利用契約という形式をとるのが一般的です。サービス利用契約であれば借家権は発生しませんので、入居者を退去させることも可能です。転貸借を希望される場合は、契約書の条文などを細かく設定する必要がありますので、コンサルティング会社に相談されることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。オフィスの転賃借というのは、マスターリース契約で禁止事項となっていることが一般的です。特に禁止されていなくても賃貸人にに無断で転貸をすることは法律で禁じられています。また、賃借人に転賃借という自覚はなくてもサブリースと見なされる事例も多々あることも留意が必要です。最近話題のシェアオフィスに参加する際にも、合法的なサブリースなのかどうかきちんと確認してから契約することをおすすめします。