オフィスの地震対策できていますか?具体的な対策と地震に強いオフィスづくりのヒント

地震に備えた安全なオフィスづくりの重要性は、今や多くの企業が認識している課題となっています。特に、日本のような地震が頻発する国では、突如として訪れる大災害にどれだけ早く、そして適切に対応できるかが、企業の存続に直結することも少なくありません。災害時に従業員の安全を最優先に考えることはもちろん、その後の業務再開のスピードや、顧客への信頼の維持、さらには企業の社会的責任を果たすためにも、しっかりとした対策が求められます。

しかし、具体的にどのような対策を講じるべきなのか、また、どのようにしてそれを実現するのかは、多くの企業にとって難しい課題となっています。この記事では、地震に強いオフィスづくりのための基本的なポイントから、最新の技術やツールを取り入れた先進的な方法まで、幅広くご紹介していきます。一企業としての使命を果たすため、そして未来の不確実性に備えるためのステップを、共に考えてみましょう。

目次

オフィスの中での地震対策、できていますか?

日本は地震大国として知られていますが、多くの企業が最新のオフィスビルに入居している一方、驚くべきことに多くのオフィスでは地震対策が十分に行われていないのが現状です。このような状況は、従業員の安全を大きく脅かす可能性があります。

地震の際、固定されていない家具や機器が転倒することで、従業員が怪我をするリスクが高まります。また、窓ガラスが割れた際には、飛散したガラス片が怪我の原因となることも。特に高層階のオフィスでは、窓ガラスの飛散による危険性はさらに増します。さらに、適切な避難経路が確保されていなければ、地震発生時にオフィス内がパニックになり、適切に避難することができなくなる可能性も考えられます。

そして、最も驚くべきことは、オフィス内で適切な地震対策が行われている場合、生存率が大幅に向上するという研究結果があることです。具体的には、基本的な対策を行うだけで、生存率が約30%も向上するとされています。

明日からできるオフィスの地震対策

地震は予測が難しく、突然の襲来に備えることが極めて重要です。特にオフィス環境では、多くの人が集まる場所であるため、適切な対策が求められます。以下、オフィス内での地震対策のポイントをいくつか挙げてみましょう。

家具や機器の固定

地震に備え、オフィス家具は必ず固定しておきましょう。ボルトで家具を固定する方式が最も効果的な方法です。また、落下物による怪我を防ぐため、棚の上には物を置かないように注意してください。

上下二段式の家具については上下を連結し、揺れによって崩れる事故を防ぎます。扉の開放防止対策や引き出しの飛び出し防止対策については、ラッチ付やセーフティロック付きの家具が有効です。固定が済んだら定期的なメンテナンスも忘れずに行いましょう。また、家具を床に固定する場合には貸主に事前に承諾を得る必要がありますので注意してください。

非常用品の備蓄

オフィス内には、非常食や飲料水、懐中電灯、ラジオ、救急キットなどの非常用品を常備しておくことが推奨されます。これにより、災害時にオフィス内で過ごすことが必要になった場合でも、最低限の生活ができるようになります。

適切なオフィス家具の配置

オフィス家具の配置は、機能重視のレイアウトが第一です。しかし、万が一に起こる地震時の安全も考慮しないといけません。デスク周辺に高さのある家具をなるべく置かないようにし、家具が倒れて道をふさがないよう、避難経路を意識して家具を配置しましょう。さらに、高いところに設置している物に関してはしっかり固定し、ハイキャビネットを間仕切壁代わりに使用しないようレイアウトしましょう。

避難経路の確保

オフィス内には、明確な避難経路を示すサインを設置し、定期的に避難訓練を行うことで、従業員が適切に避難できるようにすることが重要です。メインの避難動線は直線状に、そして幅1.2メートル以上を確保しましょう。転倒防止のため、移動しやすいキャスター付き複合機や什器類を置くことを避けるとともに、デスクの下はもぐり込めるようなスペースを空けておくことも大切です。

窓ガラスの飛散防止

窓ガラスが割れると、飛散したガラスが怪我の原因となる可能性があります。飛散防止フィルムを窓に貼ることで、このリスクを軽減することができます。

情報収集の手段の確保

地震発生後、最新の情報を迅速にキャッチするために、ラジオやインターネットなどの情報収集手段を確保しておくことが必要です。

オフィスビル(建物)自体の地震対策

オフィスの地震対策には、建物そのものが地震に強い構造であることも重要なポイントです。移転を考えている建物の耐震性能を確認してみましょう。

新耐震基準とは?

1981年に日本で施行された新しい耐震基準は、それ以前の基準と比較して、建物の耐震性能の向上を目的としています。日本は地震が頻発する国であり、過去の大きな震災のたびに建物の耐震性が見直され、それに伴い基準も改善・強化されてきました。1981年の耐震基準の改正は、これまでの改正の中でも特に重要なものとなっています。

この新耐震基準とは、具体的には1981年6月に改正された「建築基準法施行令」に基づき、その後の建築確認を受けた建物を指します。特にオフィスビルの場合、建設にかかる期間を考慮すると、1983年以降に完成したビルは、この新耐震基準に適合しているとされています。この基準に適合している建物は、地震の際の安全性が高まるとともに、その後のメンテナンスやリフォームの際にも多くのメリットがあると言われています。

制震構造とは?

制震構造とは、建物や構造物が地震の揺れによるダメージを軽減するための技術や設計手法の一つです。この技術は、地震のエネルギーを効果的に吸収・分散することを目的としており、建物自体の揺れを抑制し、損傷を最小限に抑えることを目指しています。

以下は、制震構造の主な特徴や仕組みですので参考にしてみてください。

制震構造の特徴や仕組み
  • 制震装置の導入:建物の基礎部分や柱に制震装置を取り付けることで、地震の揺れを吸収・分散します。この装置は、地震のエネルギーを効果的に吸収する役割を果たしています。
  • 揺れの分散:制震装置は、地震の揺れを建物全体に分散させることで、特定の部分に集中するダメージを防ぎます。
  • 復元力の強化:地震の揺れが収まった後、制震装置は建物を元の位置に戻す力を持っています。これにより、建物が傾いたり、変形したりするリスクを低減します。
  • 制震装置の導入:建物の基礎部分や柱に制震装置を取り付けることで、地震の揺れを吸収・分散します。この装置は、地震のエネルギーを効果的に吸収する役割を果たしています。
  • 揺れの分散:制震装置は、地震の揺れを建物全体に分散させることで、特定の部分に集中するダメージを防ぎます。
  • 復元力の強化:地震の揺れが収まった後、制震装置は建物を元の位置に戻す力を持っています。これにより、建物が傾いたり、変形したりするリスクを低減します。

特に、地震が頻発する地域や大規模な建物、そして重要な施設(例:病院や消防署)では、制震構造は地震による被害を最小限に抑えるための重要な技術として採用されています。高層ビル、特に西新宿のようなエリアのビルでは、長周期地震動対策として制震装置が導入されていることもあります。

免震構造とは?

免震構造とは、建物や構造物が地震の揺れから直接的な影響を受けにくくするための技術や設計手法の一つです。この構造は、建物と地盤の間に特殊な免震装置や免震層を設置することで、地震の揺れを直接建物に伝えるのを遅らせる、または減少させることを目的としています。

以下は、免震構造の主な特徴や仕組みですので参考にしてみてください。

免震構造の特徴や仕組み
  • 免震装置の導入:建物の基礎部分に免震装置や免震層を取り付けることで、地震の揺れを効果的に遮断します。この装置や層は、地震のエネルギーを吸収・分散する役割を果たしています。
  • 地震のエネルギーの遮断:免震装置や免震層は、地震の揺れを直接建物に伝えるのを遅らせる、または減少させることで、建物の揺れを抑制します。
  • 建物の安全性の向上:免震構造により、建物の損傷リスクが低減し、居住者や使用者の安全が向上します。

特に、地震が頻発する地域や、重要な施設(病院、学校、公共施設など)では、地震による被害を最小限に抑えるための重要な技術として免震構造が採用されています。免震構造を採用した建物は、大きな地震が発生した場合でも、建物の揺れが著しく抑制されるため、建物内の設備や家具の転倒リスクが低減し、人々の安全が確保されると言われています。

また、免震構造のもう一つの魅力は、免震ゴム装置が地震による揺れを吸収してくれるため、火災などの二次災害を引き起こす心配が少なくなる点です。免震構造のビルは地震により揺れるものの、ゆっくりと建物が地震の揺れについていく程度で、気象庁が発表する震度に比べて、はるかに小さな揺れに感じられるのが特徴です。

立地選びのポイント

オフィスの選択において、建物の立地選びは非常に大切です。通勤のしやすさや賃料等ももちろん重要ですが、地震等の天災に対する対策も考えておかなければなりません。

海抜・海の近さ

東京都心では、お台場や芝浦、天王洲、晴海、豊洲、木場などが海に近いオフィスエリアとなります。津波の心配をされることが多いのですが、東京湾は防潮堤があるため、津波の直接的な被害はなさそうです。但し、高潮や、液状化現象、荒川の氾濫などのリスクは考えておいたほうが良いかと思います。各自治体にてハザードマップが作成されていますので、必ず確認しておくようにしましょう。

オフィスの地震対策はオフィス内の地震対策、建物の地震対策、立地選びの全てを考慮する必要があります。震度7度以上の地震が発生するのを他人事とは思わず、社員が安心して働けるよう適切な対応を心がけましょう。いざ地震が発生した時の被害を最低限に抑えるためにも、オフィス選びは地震対策が施されているかよく検討してください。

まとめ

地震は予測不可能な自然現象であり、その影響を完全に避けることはできません。

しかし、適切な対策と準備を行うことで、被害を最小限に抑えることは可能です。オフィスにおいても、従業員の安全を最優先に考え、日常的な地震対策を徹底することが求められます。この記事を通じて、地震に強いオフィスづくりのヒントを学び、実際の対策に生かしていただければ幸いです。

安全なオフィス環境を築くための一歩として、今日からでも始めることができる対策を、ぜひ実践してください。

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