オフィス内見・内覧の際にチェックすべきポイント【5選】
オフィス物件選びは一見、容易に思えるかもしれません。資料を参照し、目に留まった物件をピックアップ、そして内見へ。しかし、内見時に見落とされがちなポイントや、後から気づく不便さは数多く存在します。そのような後悔を未然に防ぐためには、内見の段階でしっかりと吟味することが不可欠です。
オフィスは企業の顔。そこでの作業効率や社員のモチベーション、クライアントからの第一印象など、多くの要素に直結します。だからこそ、内見の際はただ「良いな」と思うだけでなく、実際の業務を想定しての利便性や機能性を確認することが大切です。
本記事では、内覧時に注意すべきポイントを詳細に解説。仲介会社のプロの視点も取り入れ、オフィス物件の魅力を最大限に活かす選び方をご紹介します。あなたも、後悔のないオフィス選びを目指して、私たちのガイドを参考にしてみませんか?
オフィスの内見(内覧)に行こう!
新しいオフィスの設立や移転は、企業の成長と進化の証でもあります。だからこそ、その基盤となる物件選びは非常に重要です。内見はその選び方の鍵を握るプロセスであり、しっかりとした確認作業が不可欠となります。
しかし、内見時に見落としてしまうポイントも意外と多いもの。オフィスの環境や外観は、スタッフのワークモチベーションや業績に直接的な影響をもたらすことがあります。これからの内覧で失敗しないためにも、事前にしっかりと確認すべきポイントをまとめておくことが必要です。実際に、細部に至るまで慎重にチェックすることで、後悔のないオフィス選びができるでしょう。
これから内見するという方は、あらかじめチェックポイントをリストにしておくと安心です。細かすぎるほどチェックするくらいでちょうどいいと心得ておきましょう。チェックポイントについては仲介会社の担当者と打合せをすることをおすすめします。
オフィスの内見(内覧)の際にチェックした方が良い点
オフィスの内見(内覧)は、新たな働き場を選ぶ際の最も決定的なステップです。物件の資料や写真だけではわからない実際の空間の雰囲気や、日常の作業に必要な設備、近隣環境など、実際に足を運んで感じ取ることが求められます。
この段階でしっかりと確認を怠ると、後に大きな不満や不便につながることも。そこで、オフィス内覧時に特に注意してチェックしたいポイントを厳選し、皆様にお伝えしたいと思います。
- アクセス・周辺環境
- 共用部分の設備や状態
- 専有部(貸室内)の設備や状態
- 建物自体の外観
- 共用部分の管理状況
以下に詳細を解説していきたいと思います。
【チェックポイント①】アクセス・周辺環境
アクセスや周辺環境は、オフィスの選定において極めて重要な要素となります。働く従業員や来客を迎える際の利便性や安全性、そして日々の業務に影響する要素を確認することで、快適で効率的なオフィスライフを実現することができます。
以下、アクセスや周辺環境に関する具体的なチェックポイントをまとめてみました。
- 最寄駅からの距離:オフィスまでの所要時間や道のりの複雑さを確認しましょう。通勤や営業活動において、アクセスの良さは大きなポイントとなります。
- 道のりの特徴:雨天時の通行性、夜道の明るさや安全性、坂道や階段の有無など、日々の移動を考えた際の特徴や制約を把握することが大切です。
- 飲食店の存在:日々のランチや打ち合わせ場所として利用する飲食店の存在は、業務の効率や従業員の満足度に直結します。価格帯やジャンルの多様性も考慮すると良いでしょう。
- マイナスな印象を与える施設の確認:風俗店や夜の繁華街、賭博施設など、会社のイメージにマイナスとなる施設の有無を確認することも必要です。
- その他の便益施設:コンビニ、銀行、郵便局、公園や休憩スペースなど、日常業務や休憩時に利用する施設の有無や距離も確認しておくと良いでしょう。
- 治安の確認:特に夜間の治安や過去の事件・事故情報なども調査しておくと、安心して業務を行うことができます。
アクセスや周辺環境を確認する際は、従業員や来客を考慮した上で、最も適切な場所選びを心がけることが大切です。
【チェックポイント②】共用部分の設備や状態
エントランス
エントランスはビルや会社の第一印象を決定付ける非常に重要なエリアです。訪問者はこのエントランスを通ることでそのビルや会社の管理体制、ブランドイメージ、さらには企業文化までを感じ取ります。清潔さや整然とした状態は、その場所の管理がしっかりとされていることを示すだけでなく、訪問者に安心感を与えます。
また、エントランスの開閉時間は事前に知っておくことで、来客を迎え入れる際のトラブルを避けることができます。特に土日や祝日、夜間に来客がある場合には、ビルのセキュリティ体制や受付手続きなどの情報も併せて確認しておくことが求められます。
さらに、エントランスのデザインや雰囲気は、企業のブランディングに直結します。豪華で格式あるデザインは堅実さや信頼性を、明るく開放的なデザインはフレンドリーさやアクセスしやすさを象徴します。そして、社名の表示や郵便受けなどの細部にも目を向けることで、より完成度の高いブランディングを実現できるでしょう。
エレベーター
エレベーターの数はビルの規模、在館人数によって規定されています。エレベーターで確認する点は、台車の使用想定の有無です。大型ビルでは貨物用エレベータが設置されていますが、中小ビルでは貨物用エレベータはありません。荷物の搬出入が多い場合、入居後のトラブルになることがありますので、事前に説明・確認しておきましょう。
メールボックス
メールボックスは場所とサイズを確認しておきましょう。郵便物が多い業種の場合は専用のメールボックスを設置させてもらうこともあります。また、設置されている場所によっては、土日に配達されない場合もありますので確認が必要です。
【チェックポイント②】専有部(貸室内)の設備や状態
広さ
内見する前からチェックしておきたいのが物件の広さです。会議室や執務室が確保できるかどうか、OA機器を置く場所などをチェックしましょう。図面からわかりにくいのは柱の位置です。柱の位置が悪いと作業の動線が乱れて、効率が悪化します。応接室がある場合はどの程度の顧客が収容できるかも考えましょう。
これから事業拡張や人員を増やす計画があるのであれば、ある程度余裕がある広さを確保してください。ただし、オフィスは広ければいいというものでもありません。広すぎると家賃や光熱費がかさむので、業務効率を考えながら合理的な範囲の広さにとどめましょう。
天井高
天井高はオフィスの開放感に影響を与えます。新築ビルでは2,600㎜から2,800㎜の物件が多いです。個人的な意見としては、2,500㎜以上あるのが望ましいです。
”天井を抜く”という手もありますが、ビルの竣工時期によってはアスベストの問題が出てくることもあります。管理会社や内装会社と事前に打合せしましょう。
セキュリティ
ビルのセキュリティシステムを確認しましょう。最近ではセキュリティカードの利用が一般的です。無償貸与される枚数や、追加発行料などを確認しましょう。
電気容量
最近のビルでは”容量が足りない”ということはあまり聞きませんが、古いビルでは増設対応する必要がある場合があります。その場合は、キュービクルの空き状況を確認する必要があります。使用想定の電力量は事前に把握しておきましょう。
空調方式・ゾーニング
オフィスビルの空調は、個別空調とセントラル空調、もしくはその併用というパターンが多いです。小規模ビルや中規模ビルは個別空調(天井カセット式。4方向に吹き出しがあるタイプ)が多く、大規模ビルではセントラル空調が一般的です。セントラル空調でも、温度設定や風量調整が細かくできるタイプも増えており、最新の大規模ビルでは、空調設定のゾーンはかなり細かくなっています。
トイレ清掃
ビルやオフィスの内見時、一見さほど重要でないかと思われがちなトイレですが、実は多くの情報や印象が集約されている箇所といえるでしょう。トイレの清潔さや設備は、そのビルやオフィスの管理状態を示すバロメーターとなります。また、快適なトイレ環境は従業員の働きやすさや訪問者に与える印象にも直結します。
以下、トイレに関するチェックポイントをまとめてみました。
- 清掃状態:清潔なトイレは、そのビルやオフィスの総合的な管理状態や品質を示すものです。一度の使用での汚れは仕方ないとしても、長期的な汚れや傷、臭いなどがないか確認しましょう。
- 清掃の負担:トイレが専有部にある場合、清掃の有無やその費用負担について確認は必須です。清掃が行われる頻度や、その費用が賃料に含まれているのか、別途かかるのかをチェックしましょう。
- 設備の確認:現代のオフィスでは、ウォシュレットなどの快適な設備はスタンダードとなっています。また、メイクスペースやハンドドライヤーなどの追加設備があると、より使いやすく、評価が高まります。
- 位置とアクセス:トイレの位置、特に同フロアにあるか、異なるフロアにある場合の距離やアクセス性を確認します。遠すぎると従業員の利便性が損なわれます。
- 性別ごとの確認:内見者が男性の場合、女性トイレも確認することが大切です。清掃状態や設備に違いがあるかもしれませんので、できるだけ女性が同行してチェックすることをおすすめします。
トイレは日常的に使用されるものですので、その状態や設備が良好であることは、長期的にオフィスでの働きやすさや訪問者からの評価につながります。入居を検討する際は、このポイントをしっかりとチェックしておきたいですね。
ごみ回収
ビルやオフィスでの業務をスムーズに運営するためには、日常的な事項であるゴミの取り扱いも無視できない要点となります。特に、都市部のオフィスビルや商業施設では、ごみの出し方や集積場所のルールが厳格に定められている場合が多く、それを無視した場合、罰金が科せられることも考えられます。
以下の点を特にチェックすることをおすすめします。
- ゴミ分別ルール:都市やビルによって、燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクル可能なゴミなど、分別のルールやカテゴリが異なる場合があります。正確な分別方法を確認しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
- ゴミの出し方:定められた日時や時間帯にゴミを出さなければならない、専用のゴミ袋を使用するなど、具体的な出し方のルールを確認してください。
- 特別なゴミ:業種によっては、特殊なゴミ(例:工業廃棄物、危険物、大量の紙ゴミなど)を出すことがあるため、それに関する取り扱いや回収のルールを事前に確認することが重要です。
- 集積場所:ゴミを出す際の集積場所や回収場所が指定されていることが多いので、それがどこか、また、利用する際のルールやマナーを確認しておくことが大切です。
- ゴミ処理費用:特に事業用のゴミ回収の場合、処理に費用が発生することがあります。その費用や支払い方法を確認して、予算に計上することも忘れずに。
ゴミの取り扱いは、オフィスの日常運営においては小さな部分ではありますが、ルールを守らないことでトラブルや罰金の原因となることもあるので、入居前にしっかりと確認しておくことが重要です。
【チェックポイント③】建物自体の外観
オフィスの外観は、訪問者やパートナー、顧客に対しての第一印象を与える重要な要素です。そのため、外観は企業の価値観やブランドイメージを反映することが求められます。内装と同じく、外観も企業のアイデンティティを示す要素となるため、選定時には特に注意が必要です。
先進性やクリエイティビティをアピールする企業にとって、外観はまさにその象徴となります。モダンでシンプルなデザインや、ユニークで目を引く建築がその企業のイメージをより一層引き立てることでしょう。
また、建物の一階部分に入居するテナントは、訪問者にとっての目印やランドマークとなることが多いです。このテナントがどのような企業や業態であるかは、オフィスビル全体のイメージを大きく左右します。例えば、高級感のあるブランドショップやカフェが入居しているビルは、その上階のオフィスも高級感やブランド力があると感じられるでしょう。反対に、少し古めかしい店舗や不潔な印象を受けるテナントが入居している場合、ビル全体の印象も下がってしまいます。
そのため、オフィスの選定時には、単にオフィスの内部だけでなく、外観や一階テナントなどの周辺環境もしっかりとチェックし、企業のイメージに合致したビル選びをすることが大切です。
【チェックポイント④】他の入居している企業の様子
入居を検討しているオフィスビルのテナント情報は、そのビルのイメージや実際のビジネス運営に影響を与える重要な要素です。そのため、内見時にはただ部屋の様子や設備を確認するだけでなく、他の入居している企業の様子を確かめることも非常に意味があります。
郵便受けや社名のプレートからは、どのような企業が入居しているのかの手がかりが得られます。例えば、大手企業や知名度のある企業が多く入居している場合、ビルの信用性やブランドイメージが上がるでしょう。一方で、同業他社が入居している場合は、ビジネス上の機密情報の取り扱いや競合関係を慎重に考慮する必要があります。
また、取引先が同じビルに入居している場合は、業務連携がしやすくなる利点がありますが、逆に取引先との独立性を保ちたい場合は、その点も考慮する必要があります。
さらに、入居している企業の業種や規模、社風なども、共用部分の利用状況や騒音、セキュリティ面での影響などを予測する手がかりとなります。
内見時には、こうした周辺情報もしっかりとキャッチし、自社のビジネスや業務運営にどのように影響するのかを総合的に判断することが大切です。
【チェックポイント⑤】共用部分の管理状況
内見時はオフィスに気を取られがちですが、共用部分はオフィスの印象を大きく左右します。賃料と別に支払っている共益費は、共用部の管理にも使われる費用です。
建物の管理の状況は共用部をチェックすればわかります。例えば、エントランスやエレベーターの清掃状況。床材の剥がれた、壁紙の汚れなど、気なる点がないかチェックしましょう。
オフィス不動産仲介業者が一番気にするポイントは?
オフィス不動産仲介業者目線で、内覧(内見)の際、最も気にするポイントの一つが「利便性とアクセス」です。ここには複数の側面があります。
- 最寄駅からの距離: オフィスが最寄駅からどれほどの距離に位置しているかは、従業員の通勤時間や疲労度に大きく影響します。特に大都市圏では、駅から徒歩5分以内、あるいは10分以内といった立地条件は、非常に高い価値を持ちます。
- 複数の駅や路線からのアクセス: オフィスが複数の駅や路線から利用可能であれば、交通の乱れや災害時のリスク分散にも繋がります。これは取引先やクライアントにとっても魅力的な要素となることが多いです。
- その他の公共交通機関: 駅だけでなく、バス停やタクシーの乗り場も近くにあるかをチェック。特に郊外のオフィスでは、バス路線の存在がキーとなることもあります。
- 周辺環境の歩行者の流れ: 駅からオフィスまでの道のりで、人の流れや交差点、信号機の数なども考慮する必要があります。歩行者の多いエリアは活気がありますが、同時に混雑や騒音の面でデメリットとなる場合も。
- 来客のための駐車場: 大手企業や取引先からの来客が多い場合、近くに駐車場があるかどうかも大切なポイント。公共交通機関以外での来訪をスムーズに行える環境を整えることで、ビジネスのオポチュニティを逃さない。
これらのポイントを総合的に判断して、オフィスの立地を選ぶことは、企業の生産性やイメージ、さらには従業員のモチベーションにも大きく影響します。オフィス不動産仲介業者として、これらのポイントを的確に評価し、クライアントのニーズに合った最適な物件を提案することが求められます。
まとめ
オフィスの内覧・内見は、企業活動の基盤となる場所を選定する重要なステップです。特に近年の都市部におけるオフィス市場の競争は激化しており、一見すると完璧に見える物件でも、細部を見逃すことで後悔することも。そこで、特に重要な5つのポイントを抑えておくことで、企業の成長とともに長く使用できる理想的なオフィスを見つけることができます。
市場データを元にしたところ、利便性とアクセスは従業員のモチベーションや生産性に大きく関わる要素であり、特に都市部ではこの点が最も重視される傾向にあります。また、施設の清潔感や最新の設備、そして適切なセキュリティーが確保されているかも、企業のブランディングやクライアントからの信頼を左右する重要な要素となっています。
内覧の際には、仲介業者とのコミュニケーションも欠かせません。彼らの専門的な意見や市場の動向を理解することで、より適切な選択をするための補助となるでしょう。最終的には、短期的な満足だけでなく、長期的なビジョンにも合致したオフィス選びが、企業の持続的な成長をサポートします。