オフィス探しに最初に決めるべき条件とは?押さえておきたい10個のポイントを解説

もしあなたがオフィス移転の担当者になった場合、まず何を決めますか?多くの企業は「エリア」「面積」「予算」といった基本的な条件から決め始めます。しかし、これだけでは自社に最適なオフィスを見逃してしまう可能性があります。

オフィス環境は、生産性や業績、リクルーティングにも大きな影響を与えるため、慎重な判断が必要です。今回は、オフィス物件を探し始める際に定めておくべき重要なポイントを、10項目に分けてご紹介します。

目次

はじめに‥移転の目的を明確に定めましょう

オフィス移転で物件を探す際に、最優先すべき事項は何でしょうか?面積やエリア、駅からのアクセス時間はもちろん重要です。しかし、本当に大事なのは、オフィス移転を通じて何を達成したいのかという「目的」を明確にすることです。

たとえば、「手狭なオフィスをとりあえず広くしたい」や「採用を強化するために、おしゃれな内装のオフィスに移りたい」など、移転には必ず目的があるはずです。

経営者として一人で移転先を探す場合でも、担当者として物件探しを依頼された場合でも、その目的を軸に据え、最後までぶれない意思を持つことが重要です。そして、その目的をチーム全体で共有しておくことが、成功への鍵となります。

オフィス物件選びの【基本条件】

オフィス移転を考える際、多くの方は自分たちで条件を決めて、それに合った物件を業者に探してもらうとイメージしているかもしれません。しかし、実際にはそうではなく、現状のオフィスの状況(現在の坪数や抱えている課題)や将来の展望(例えば何年後にどのようなオフィスにしたいか、採用予定人数など)がぼんやりとでもイメージできているなら、早い段階でオフィス移転のプロに相談することをおすすめします。

手数料が同じなら、プロの助言を受けるに越したことはありません。ただし、自社内で共通の認識を持っておくことも重要です。

ここでは、オフィス探しを始める前に最低限押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

オフィスの月額賃料

オフィス物件選びで最も重要であり、比較的設定しやすい項目の一つが「月額賃料」です。毎月支払い続けるものなので、わずかな賃料の違いでも年間では大きなコスト差となります。

オフィス物件は、月額賃料でなく【坪単価】で表示されることが多いので、その点にも注意が必要です。

譲れない条件はしっかり守りつつ、妥協できる部分は妥協し、賃料を効率的に抑えることが理想です。希望エリアが決まったら、まずはそのエリアの賃料相場を確認し、月額コストを想定しておきましょう。また、業績や採用計画を基に、オフィス賃料にいくらかけられるかを事前に見積もることが大切です。賃料以外にも、工事費や原状回復費用、敷金などの費用も考慮して、余裕のある予算を組むことが重要です。

オフィスの移転時期

オフィス移転を計画する際には、経営計画や採用計画、そして現在のオフィスの更新時期を考慮し、新しいオフィスが必要となる時期をあらかじめ想定しておくことが重要です。

実際に新オフィスを稼働させたい日から逆算して、スケジュールを組み立てるとよいでしょう。一般的には、移転の半年前から1年前に計画を始めるのが理想です。物件探しから内装工事、そして入居までに約半年かかることが多いため、余裕を持って進めることが重要です。

特に、現オフィスビルの取り壊しや契約満了(定期借家契約)が移転理由の場合、期限内に退去しないと違約金が発生することもあるため、注意が必要です。

オフィスの面積

オフィスの面積は、賃料と並んで基本的な条件として設定しておくべき重要な項目です。

従来は「従業員数×3坪」で計算するのが一般的でしたが、現在では働き方も考慮して「利用想定人数×3坪」を基準にするのがおすすめです。また、会議室や個別ブースが多く必要な場合は「×4坪」、出社率が低い場合は「×2.5坪」など、状況に応じた柔軟な計算が必要です。

特に、コスト削減を目的とする場合は、坪単価の安い物件に移転するだけでなく、面積を削減することでも賃料を抑えられますが、業務に支障がないか慎重に検討し、綿密なオフィスレイアウト設計が必要です。また、増員を見越して、数年先まで対応できる広さを確保しておくことも重要です。

【多くの企業が重視する】オフィス物件選びのポイント

オフィス物件選びでは、基本条件に加えて「立地」「ビルスペック・BCP(事業継続計画)」「契約内容・条件」などのイメージをもっておくことが重要です。

これらのポイントについて、あらかじめイメージを持っておくとプロに相談する際にスムーズですが、絶対に決めておかなければならないわけではありません。移転の目的や軸がしっかり定まっていれば、その段階でプロに相談しても全く問題ありません。

ここでは、多くの企業が重視する3つのポイントをご紹介します。

オフィスビルの立地やアクセス

オフィス物件選びにおいて、立地は非常に重要な条件のひとつです。顧客や協力会社へのアクセスが良い電車の沿線や、創業地として思い入れのある地域など、立地は最終的な意思決定において優先度が高いケースが多く見られます。

駅からの距離や車でのアクセス、大通り沿いかどうかなど、自社にとって最適な立地をしっかり検討することが大切です。

立地の良い物件はリクルート活動にも有利で、優秀な人材を引き寄せる力があります。反対に、立地が悪ければ、理想的な人材の確保が難しくなる可能性があります。

また、会社のイメージや社員のモチベーションにも影響を与えるため、立地は慎重に選ぶべきです。ただし、立地の良い物件は賃料が高い傾向にあるため、費用対効果を考慮して選択することが重要です。

さらに、物件資料やウェブだけでは分からない情報も多いため、内見時には周辺エリアを実際に歩いて確認することをお勧めします。希望エリアに予算内の物件が見つからない場合は、近隣エリアでの検討も有効な手段です。

オフィスビルのスペック・BCPについて

オフィス物件選びにおいて、ビルのスペックやBCP(事業継続計画)は重要な要素です。築年数や建物の意匠性、高機能な設備は、ビルのグレードを決定づける要因であり、選定に大きな影響を与えます。

特に新築や築浅のビルでは、耐震基準はもちろん、最新の換気・空調設備や水回り、付帯設備が整っており、入居時の快適性や安全性が高いのが特徴です。また、美観の良さは採用や集客力の向上にも繋がりますが、ビルグレードとコストは比例するため、予算とのバランスを考えることが必要です。

BCPとは、自然災害やテロ、パンデミックなど、事業に影響を与える危機に対処するための計画を指します。特に地震が頻発する日本では、BCP対応の内容がますます重視されています。制振構造や非常用電源、防災備蓄倉庫などの対策がどの程度整備されているかを確認し、優先事項として検討しましょう。ビルのスペックとBCP対応の内容を総合的に評価することが、最適なオフィス選びの鍵となります。

オフィスの契約内容・条件

オフィス物件を選ぶ際、契約内容や条件は非常に重要な要素です。サイトに掲載されている情報は限られていますが、その中でも特に重視したいのが契約の種類です。

「定期借家契約」の場合、契約期間終了後に再契約するには貸主との合意が必要で、条件が合わなければ退去を余儀なくされるリスクがあります。そのため、賃料交渉で貸主有利になることが多く、退去リスクを避けたい企業は「普通借家契約」を絶対条件として物件を探すことが多いです。

また、契約時に発生する敷金・保証金は、退去時に返還されるとはいえ、一時的なコストとして大きなインパクトがあります。これにより、初期費用の予算が重要な検討事項となります。

最近では、特定の保証会社を利用することで敷金・保証金の減額、また最大0ヶ月になるサービスも増えているため、これらを活用して初期費用を抑える方法も一般的になっています。

【企業によって必要になる】オフィス物件選びのポイント

これまでは、すべての企業に共通して検討が必要なポイントをご紹介しましたが、ここでは企業のニーズに応じて検討すべきポイントについて説明します。企業の業態や成長計画によって、優先すべき条件が変わるため、必要に応じて慎重に考慮することが大切です。

オフィスのフロア階数・区画

貨物の搬入出が多い企業は、低層階や外階段からアクセスしやすい区画を優先することが多いです。また、外出や来客が頻繁な企業も、高層すぎるビルは避ける傾向があります。

一方で、ブランディングの一環として高層ビルを選んだり、隣接するビルへの情報漏洩を防ぐために高層階を選ぶ企業もあります。どのような目的で移転を検討しているのかを再確認し、最適な階数や区画を選ぶことが重要です。

オフィスビルの使用可能時間

オフィスビルによっては、土日祝日に利用できなかったり、エントランスの解錠時間が決まっていたりすることがあります。また、土日祝に利用できる場合でも、追加で空調費用が発生することもあります。そのため、どのタイミングでオフィスを利用するか、業務内容に合わせて使用可能時間を確認し、イメージしておくことが重要です。

業務に支障が出ないよう、使用可能時間を事前にしっかりと把握しておくことが、オフィス選びのポイントとなります。

付帯施設(駐車場など)

オフィスビルを選ぶ際、付帯設備の中でも特に重視されるのが駐車場です。近隣の契約駐車場やコインパーキングで代用することも可能ですが、車の利用が多かったり、搬入出が発生する場合は、オフィスビルに専用の駐車場が併設されていることが必須条件とされることがあります。

また、喫煙者が多い企業では、ビル内に喫煙室があることも希望されるケースがあり、そうした付帯施設が揃っていると、オフィス選びの重要なポイントとなります。

貸主の属性

オフィス物件を選ぶ際、貸主の属性も重要なポイントです。

貸主には、個人オーナー、中規模オーナー、大手不動産デベロッパー、保険会社、不動産ファンドなどがあり、その属性によって賃料金額の設定、契約形態、途中解約の条件、内装工事の業者指定、リニューアル計画、管理会社の選定、賃料改定の頻度や方針、建て替え計画、敷金の返還方法など、多くの重要な要素が変わってきます。

借地借家法によってテナントは保護されているものの、貸主が優位に立つ契約条件が存在することも多々あります。また、各貸主の特徴は異なるため、これらの違いを理解し、自社に最適な条件を見極めることが重要です。

物件選びに際しては、仲介業者などオフィス移転のプロに相談し、貸主の属性に応じた適切な選択を進めることをおすすめします。

オフィス移転の成功のカギは「計画立案からプロに相談」すること

オフィス選びで最も重要なのは、移転の目的を明確にし、その軸をもとに、面積や予算を決めていくのが一般的な流れですが、多くの方はオフィス移転に慣れておらず、全てを自分で判断するのは難しいものです。

オフィス移転には、現在の状況やトレンド、将来の展望をすべて考慮し、どれくらいの面積や設備が必要なのかを慎重に見極める必要があります。

多くの方は賃貸住宅と同じように、自分たちで条件を設定し、サイトで物件を探す方法を取りますが、オフィスの場合は異なるアプローチが求められます。業者などのプロに提案を依頼する際には、計画立案の段階から相談することをおすすめします。

弊社は賃貸オフィス検索サイト「officetar(オフィスター)」をはじめ、さまざまなオフィス検索サイトを運営しており、豊富な経験と実績を持つスタッフが、オフィス移転の成功をサポートします。「どのくらいの面積が適正なのか?」「課題解決にはどのようなソリューションが適正なのか?」など初期段階から一緒に考え、より効果的なオフィス選びをお手伝いします。

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