高輪ゲートウェイ 山手線新駅の再開発
山手線新駅「高輪ゲートウェイ」
山手線の新駅は昭和46年(1971年)の「西日暮里駅」以来、実に50年ぶりということで、メディアにも大きく取り上げられていますのでご存じだと思いますが、JR山手線30番目の駅として高輪ゲートウェイを2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にあわせて暫定開業させる計画が決定しました。
しかも今回は新駅が出来るだけではなく、新駅と合わせて約13haという敷地で大規模な駅前開発も同時に進行しています。新しい巨大な街が出来上がるのです。
ここでは周辺の開発も含め、山手線新駅構想の詳細をご紹介いたします。
JR新駅構想の経緯とは
「グローバルゲートウェイ品川」を目指す品川開発プロジェクトの一環として「世界中から先進的な企業と人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化が生まれるまちづくり」の国際交流拠点となる新しい街の中核施設として新駅を位置付け、2016年9月6日JR東日本は新駅の開設および概要を発表しました。
2017年2月10日、新駅の工事に着手。
2018年6月5日から30日まで、駅名の募集が行われました。駅名の募集はJR東日本では初となります。
2018年8月29日、「品川新駅」の工事現場が報道陣に公開されました。
2020年春に暫定開業し、2024年度に本開業の予定です。
また、新駅の開設理由としては、以下の4つが挙げられています。
- 一つ複線が増えるため京浜東北線の混雑緩和ができる。
- 品川の効率の悪い車庫をなくし、郊外の車庫に電車を移すことで無駄がなくなり効率が上がる。
- 羽田空港に近く、新幹線も停車し、将来リニア中央新幹線の東京側のターミナル駅になる品川駅に近く、羽田空港や成田空港へのアクセスに優れた都営浅草線泉岳寺駅にも隣接しているので立地が良い。
- 空いた車庫用敷地を転用することで、ビジネス拠点として不動産に活用できる。
注目のJR新駅について
JR新駅の位置は
新駅が出来るのは山手線の南西部分、田町駅と品川駅の中間です。田町駅と品川駅は山手線ではもっとも駅が離れている区間でしたが、その田町駅から約 1.3km、品川駅から約 0.9 ㎞付近になります。また、都営浅草線の泉岳寺駅からも南東に300~400mほど離れた位置になります。
ここは品川車両基地として使われてきた場所ですが、現在建設中の上野・東京ラインが完成すると機能の多くを東京北部の尾久車両基地へと移転することができ、現在第一京浜に近い位置を走っている山手線と京浜東北線を車両基地の中央部に移動させることで、第一京浜に近い西側の南北に細長い敷地を高度利用できるようにします。
乗入れ路線
線路名称上は東海道本線1路線のみで、京浜東北線電車および山手線電車が停車する予定です。
駅舎デザイン
地上3階(高さ約30m)・地下1階、総床面積は約7600㎡。デザインは建築家の隈研吾氏が手がけ、日本の折り紙をモチーフとした大屋根に、障子をイメージした膜や木などの素材を活用、日本の「和」を感じさせる駅になる計画です。
また、新国際都市として人と地域をつなぎ、駅と街を一体的な空間として感じられる「エキマチ一体」を実現することにより、新しい街の魅力を発信することを目的として、駅舎東西面に大きなガラス面を設けると共に、コンコース階に約 1,000 ㎡の大きな吹き抜けを設けることにより、「えき」から「まち」、また、「まち」から「えき」を見通せる一体的な空間を創るとともに、「えき」と「まち」が連携したイベントを行うために、駅の改札内に約 300 ㎡のスペースが設けられます。
新駅周辺再開発について
敷地は約13haあります。「恵比寿ガーデンプレイス」が約8.3haですので、その1.5倍もの規模になります。
開発はJR東日本と都市再生機構が手掛け、全部で8棟、3棟がマンション、5棟がオフィスと商業の複合ビルが建築されると同時に、東西・南北に歩ける道路や広場を整備し、車両基地で分断されていた東西エリアを一体化する予定です。
田町駅から品川駅方向に1街区~6街区に分け、第Ⅰ期として1街区~4街区が開発されます。
第Ⅰ期の各街区の規模は
1街区:地上44階 地下4階、高さ約175m、敷地約1万1900㎡、延べ約15万5000㎡
2街区:地上5階 地下3階、高さ約45m、敷地約8100㎡、延べ約3万1000㎡
3街区:地上30階 地下5階、高さ約170m、敷地約1万3300㎡、延べ約20万9000㎡
4街区:地上29階 地下3階、高さ約165m、敷地約3万5600㎡、延べ約46万㎡
全体で敷地面積約6.89ha、延べ約85万5000㎡という大規模再開発となります。1街区は約1000戸のタワーマンションとなり、3街区と4街区の低層部は商業施設となります。また、4街区は北棟と南棟に分かれたツインタワーとなり、南棟の高層階はホテルとなります。2街区~4街区は2階部分に設置されるオープンデッキにより接続されます。
また、品川新駅(仮称)は4街区の隣接地に建設されます。
細長い敷地に、実質5棟の超高層が立ち並びますが、さらに3街区の西側の泉岳寺駅隣接地では高さ約160mの住宅(約350戸)などが入る複合施設が計画されています。他にも泉岳寺駅周辺では再開発の計画があり新たな超高層ビル群が出現することとなります。
第Ⅱ期(5~6街区)の開発詳細は発表されていませんが、超高層ビル2棟が建設予定です。
新駅と周辺街づくりで見込まれている経済効果は1兆4,000億円という試算があり、大手ゼネコン各社や関連企業の株価が上昇、「地価が値上がりしそうな街ランキング」でもJR品川駅が2015年から2年連続で3位に位置し、品川駅近隣の地価公示の上昇率は商業地10.2%、住宅地3.9%など新駅への期待は大きく、2024年の開業が待たれます。