TBW（Team Based Working）とは？ チームで働く新しいオフィスのかたちと、不動産仲介の視点から見るオフィス選びのポイント

TBW（Team Based Working）とは、チームでの成果を最大化するために設計された、新しい働き方のコンセプトです。ABW（Activity Based Working）をベースにしながらも、「チーム単位での一体感」や「リアルな場での協働」に重きを置き、リモートワーク時代における組織力の再構築を図るアプローチとして注目されています。

本記事では、TBWの概要や誕生背景、ABWとの違い、導入に適した企業像に加え、オフィス不動産仲介業者の視点から見た、TBWを実現するためのオフィス選びのポイントまで詳しく解説します。

ハイブリッドワーク時代のオフィス戦略を考える企業のご担当者さまに、ぜひご一読いただきたい内容です。

働き方が変わる今、オフィスに求められる“集まる価値”とは？

コロナ禍を経て、リモートワークやハイブリッドワークが広まり、多くの企業が「どこで働くか」という問いに向き合ってきました。オフィスの在り方も変わり、「固定席」「フリーアドレス」といった言葉が日常化する中、最近注目を集めているのがTBW（Team Based Working）という新たな働き方の考え方です。

TBWは、「チームで働くこと」にフォーカスした働き方であり、従来のABW（Activity Based Working）を発展させたスタイルといえます。チームメンバーがリアルな場に集まることで、一体感や創造性を高め、組織全体のパフォーマンス向上を目指す仕組みです。

私たちのようなオフィス不動産仲介業者の視点から見ても、TBWはこれからのオフィス移転やオフィス選びにおいて、欠かせないキーワードになっていくと考えています。

TBW（Team Based Working）とは何か？

TBW（Team Based Working）とは、チームでのパフォーマンスを最大化することを目的にした働き方の設計思想です。個人の働き方にフォーカスしたABW（Activity Based Working）に対して、TBWは「チーム単位での協働」を中心に据えている点が大きな特徴です。

近年、テレワークやフリーアドレスの普及により、場所にとらわれない柔軟な働き方が広がりましたが、その一方で「雑談がなくなった」「アイデアが出にくくなった」といった課題も表面化しています。TBWはこうした背景を受け、「あえて集まる意味のある場」をつくることで、チームの結束力や創造性、信頼関係の醸成を促進します。

例えば、チーム内で自然なコミュニケーションが生まれるレイアウトや、プロジェクトごとの専用スペースを確保したオフィス設計など、空間づくりと働き方が一体となって組織の成果に直結する仕組みです。
今後、企業が求める“集まる場の質”を高めるうえで、TBWは重要なキーワードとなるでしょう。

ABW（Activity Based Working）との違い

TBWは、ABW（Activity Based Working）と混同されがちですが、アプローチの焦点に明確な違いがあります。ABWは「仕事の内容に応じて働く場所を自由に選べる」ことを主眼に置いており、個人の生産性や自由度の向上に貢献します。

一方、TBWでは「チーム単位での働き方」に焦点を当て、チームメンバーが物理的に集まりやすい環境や、協働を促進する場づくりが重要視されます。つまり、ABWが“個”にフォーカスしているのに対し、TBWは“チーム”のパフォーマンス向上を目的としています。

昨今のリモートワークの浸透により、チームとしての一体感や共創性の再構築が求められる中で、TBWの重要性が高まっています。

TBWがもたらす組織へのメリット

TBWの導入によって得られる最大のメリットは、「チームがリアルに集まることに意味を持たせられる」点にあります。

業務の効率化という観点ではリモートワークでも十分に機能する時代ですが、チームでの共創や迅速な意思決定、相互理解といった側面では、やはりリアルな場が有効です。TBWを意識したオフィス環境では、自然な雑談や偶発的な会話が生まれやすく、結果的にチーム内の信頼関係や一体感が高まります。

このような心理的な安全性が確保された状態では、発言しやすく、アイデアも出やすくなり、結果としてイノベーション創出やプロジェクト推進力の向上といったビジネス成果につながります。

また、社員が「この場所で働きたい」と感じられるようになることで、エンゲージメントの向上や離職率の低下といった効果も期待できます。TBWは働き方を変えるだけでなく、組織全体の力を引き出す戦略的なオフィスデザイン手法でもあるのです。

TBWが生まれた背景と、働き方の変化

TBWが生まれた背景には、リモートワークの浸透によって生じた「人と人の関係性の希薄化」があります。どこでも仕事ができるようになった反面、チーム内での雑談や偶発的な会話、アイデアの共有といった“チームの空気感”が失われつつあることが課題となってきました。

ABWでは「場所の自由」は確保できますが、「関係性の構築」までは十分に補えない――そんな気づきからTBWは生まれました。

特に海外では、2020年代に入ってから「オフィス回帰」を目指す動きが広がっており、その中でも「ただ戻る」のではなく、集まる意味のあるオフィス設計が注目されています。

なぜ今、TBWが必要なのか？

リモートワークで業務効率は上がったけれど、「雑談が減った」「新しいアイデアが生まれにくくなった」と感じている企業は少なくありません。そうした中で、チームで集まり、対話し、創造する場としてのオフィスの重要性が再認識されつつあります。

TBWは、次のような企業課題に応える設計思想です：

• 社員同士の信頼関係を築きたい
• 他部署との連携やアイデア交換を活性化したい
• チームでの成果を最大化したい

これらのニーズを満たすには、「自然と話せる空間」「気軽に集まれるスペース」「偶発的な出会いが生まれる動線」など、オフィス空間の設計そのものに工夫が必要です。

TBWを支えるオフィス設計のポイント

TBWを実現するには、単に「会議室を多くすればいい」「チーム席を用意すればいい」という話ではありません。以下のような要素が設計上のカギとなります：

• チームごとの専用エリア：常に固定ではなく、プロジェクト単位で使えるフレキシブルな設計が理想
• ラウンジ・カフェスペース：ちょっとした会話からアイデアが生まれる、柔らかい空間
• 集中エリアと交流エリアのバランス：作業と対話の切り替えができる構造
• 移動・動線の工夫：行き交う中での「出会い」を生む回遊性

これらはすべて、「人が集まり、関係を深め、成果を生むための仕掛け」です。

TBW導入に向いている企業とは？

TBWが特にフィットしやすいのは、以下のような企業です：

• プロジェクト型の業務を行うスタートアップやベンチャー企業
• クリエイティブ系・広告業・IT企業など、発想力が重要な企業
• 部門横断型で動くことが多い企業（営業×開発×マーケティングなど）
• 20〜50人程度の中小規模企業で、ワンフロアでの一体感を重視したい場合

特に近年では、セットアップオフィスや居抜きオフィスの中にも、TBWの考え方を取り入れた設計が見られるようになっており、移転の選択肢としても現実的です。

オフィス仲介の視点：TBWに対応した物件選びとは？

私たち不動産仲介業者の立場から見ると、TBWを実現できる物件は、従来とは違った基準で評価されるべきです。

単に立地や賃料だけでなく、以下のような観点が重要になります：

• チーム単位で使える空間があるか？（区画分け・ゾーニングが可能か）
• 共用部に工夫があるか？（ラウンジ、カフェスペースなど）
• 天井高、空調、自然光など、快適性と自由度の高さ
• 将来的なレイアウト変更の柔軟性（可動式間仕切りなど）

特に、セットアップ済みのオフィスでは、すでにこうした設計が導入されているケースも多く、コストを抑えつつTBWを取り入れたい企業にとっては魅力的な選択肢となります。

まとめ：これからのオフィスは、「集まりたくなる場所」に

テレワークとオフィスワークのバランスを模索する今、求められるのは「戻るべきオフィス」ではなく、「集まりたくなるオフィス」です。

TBWは、チームの力を引き出し、企業としての創造力・競争力を高めるための有効な考え方です。

オフィス不動産仲介業者として、私たちは単なる物件紹介にとどまらず、企業の働き方や組織づくりに寄り添った空間提案を行ってまいります。

「TBWを意識したオフィス移転を検討したい」
「自社に合う物件を一緒に探してほしい」

そのようにお考えの際は、ぜひ私たちにご相談ください。