【丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)】歴史と未来をつなぐ都市再生の新たなシンボル

丸の内エリアのさらなる進化を象徴する「丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)」が発表されました。この計画は、歴史と現代の融合を目指し、2025年度から2030年度までの工期で進行予定です。

本記事では、この壮大なプロジェクトの概要、特徴、そして地域への影響を詳しく解説します。

目次

「丸の内3-1プロジェクト」の全体像

外観:提供元「三菱地所株式会社」

丸の内エリアのさらなる進化を象徴する「丸の内3-1プロジェクト」。この壮大な都市再生計画は、1966年竣工の歴史ある 国際ビル帝劇ビル を次世代へと受け継ぎつつ、最先端の技術とデザインを取り入れて新たな価値を創出するプロジェクトです。

三菱地所、東宝、公益財団法人出光美術館の3者が共同で進めるこの計画は、東京都の 国家戦略特別区域 にも位置付けられており、丸の内・有楽町エリア全体の活性化と国際競争力の向上を目指しています。

建物は、歴史を継承したデザインと未来志向の機能性が融合した空間を提供し、高性能オフィスや商業施設、再整備された帝国劇場、拡充された出光美術館が調和する、多機能なランドマークとなることが期待されています。

また、アクセス性を大幅に向上させる地下通路の整備や、持続可能性を考慮した環境性能の向上を通じて、訪れる人々にとって快適で魅力的な都市環境を提供する計画です。

計画の概要

開発名丸の内3-1プロジェクト
(国際ビル・帝劇ビル建替計画、仮称)
所在地千代田区丸の内3-1-1ほか(住居表示・地番)
最寄り駅地下鉄日比谷駅・有楽町駅直結(予定)
敷地面積約9900.00㎡
延床面積約17万6000.00㎡
規模地上29階、地下4階
高さ約155m
用途事務所、美術館、劇場、店舗など
用途地域商業
容積率1500%(割増、指定容積率1300%)
事業主三菱地所、東宝、公益財団法人出光美術館
設計者三菱地所設計(全体設計)、小堀哲夫(低層部の外装デザイン)、日建設計(美術館)
工期2025年度~2030年度(予定)

計画地

位置図(広域):提供元「三菱地所株式会社」
位置図(狭域):提供元「三菱地所株式会社」

計画地は、丸の内仲通りと日比谷通りに囲まれた約9900m²の土地で、三菱地所、東宝、出光美術館が共同で所有・運営します。これにより、エリア全体の一体性と利便性が高まります。

「丸の内3-1プロジェクト」の特徴

1. 帝国劇場の再整備と機能強化

帝国劇場イメージ(正面エントランス):提供元「三菱地所株式会社」
帝国劇場イメージ(南西より):提供元「三菱地所株式会社」
  • 社交場としての機能向上
    ロビーホワイエを拡充し、観客同士の交流を促進する社交的な空間を創出します。
  • 快適な観劇環境
    誰もが楽しめる快適な観劇環境を整備し、観劇文化の裾野を広げる取り組みを展開します。

2. 出光美術館の再整備と機能強化

出光美術館イメージ(皇居方面を望む):提供元「三菱地所株式会社」
出光美術館イメージ(西面外観):提供元「三菱地所株式会社」
  • 展示エリアの拡充
    東洋・日本古美術の魅力を国内外に発信するため、展示公開エリアを大幅に拡張します。
  • 文化発信と教育普及
    教育プログラムやアフターMICEメニューの提供を通じて、多様な文化発信活動を展開します。
  • 設計デザイン
    美術館の設計デザインは、株式会社日建設計が担当しています。

3. 皇居外苑を望む低層屋上テラスの整備

低層屋上テラスイメージ:提供元「三菱地所株式会社」
  • 開放的な屋外空間
    皇居外苑を望む貴重な低層部屋上に、一般に開放されたテラスを設置します。
  • 多目的利用
    MICE(会議・インセンティブ旅行・国際会議・展示会)ユニークベニューとしても活用が想定されています。

4. 皇居周辺地域にふさわしい都市景観の形成

近景イメージ(南東角エントランス):提供元「三菱地所株式会社」
遠景イメージ(敷地北西側上空より):提供元「三菱地所株式会社」
  • ガイドラインに基づく設計
    「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドライン2023」に準拠した建物計画を実施。
  • 歴史と調和した景観
    歴史的な軒線(31m)を継承し、高層部をセットバックすることで、低層部との連続性を確保。皇居からの眺望を意識した調和の取れたスカイラインを形成します。
  • デザインとライティング計画
    建物全体の設計は株式会社三菱地所設計が担当し、低層部外装デザインには建築家・小堀哲夫氏が起用されています。夜間には大丸有エリアに品格を与える統一性のあるライティングを実現します。

「丸の内3-1プロジェクト」のデザインと施設構成の特徴

建物断面イメージ:提供元「三菱地所株式会社」

「丸の内3-1プロジェクト」は、歴史と未来を融合させた設計と多様な機能を持つ施設構成が特徴です。この計画では、都市景観の美しさを引き立てつつ、利用者に快適で魅力的な体験を提供する空間づくりを目指しています。

1. 歴史を継承し未来を見据えた建築デザイン

  • 低層部の軒線継承
    歴史的な31m(百尺)の軒線を低層部に取り入れ、既存の街並みとの連続性を確保。これにより、丸の内エリア特有の重厚感と風格を感じさせる街並みが形成されます。
  • セットバック構造
    高層部はセットバックすることで、視覚的な奥行きと空間の広がりを演出。皇居外苑を望む壮大なスカイラインを意識した設計が採用されています。
  • デザインの連続性
    丸の内・有楽町エリアをつなぐ結節点として、低層部と高層部が一体となり、賑わいと調和を両立するデザインが施されています。

2. 屋上テラスと開放感あふれる空間設計

  • 皇居外苑を望む低層屋上テラス
    低層部の屋上には、皇居外苑や日比谷公園を一望できるテラスを整備。一般の方にも開放されるこの空間は、都市の喧騒を忘れるリラクゼーションスポットとして活用されます。
  • MICEユニークベニューとしての利用
    この屋上テラスは、会議やイベントなどのユニークベニューとしての活用も想定されており、都市の新たな社交場としての役割を担います。

3. 多機能施設の充実

  • オフィス空間
    6階~29階には、最新技術を備えたハイグレードなオフィスを配置。ZEB Ready基準を満たす環境性能を持ち、働きやすい快適な職場環境を提供します。
  • 文化施設
    低層部には再整備された 帝国劇場 と拡充された 出光美術館 を配置。これにより、芸術文化の発信拠点としての役割がさらに強化されます。
  • 商業施設
    飲食やショッピングを楽しめる商業エリアを整備し、訪れる人々の滞在価値を高める空間を提供します。

4. 夜間景観とライティング計画

  • 賑わいと品格を生むライトアップ
    夜間には、大丸有エリア全体に統一感をもたらす品格あるライティング計画を実施。これにより、昼夜を問わず美しい景観を提供します。
  • 建物のアイコン化
    ライトアップされた建物は、丸の内エリアの新たなランドマークとして存在感を発揮します。

「丸の内3-1プロジェクト」のデザインと施設構成は、歴史的な要素と最先端の都市機能を融合させた独創的な空間づくりを実現します。このプロジェクトが完成すれば、丸の内エリアはさらに魅力的で活気ある地域へと進化することでしょう。

「丸の内3-1プロジェクト」の環境性能とサステナビリティ

「丸の内3-1プロジェクト」は、持続可能な都市開発を実現するため、環境性能とサステナビリティを計画の中心に据えています。このプロジェクトでは、最新の環境技術を導入し、地球環境への配慮と利用者にとっての快適性を両立させた未来志向の都市空間を目指しています。

1. ZEB Ready基準の達成

オフィス部分では、 一次エネルギー消費量を50%以上削減 する「ZEB Ready」基準を達成予定です。これにより、省エネ性能が大幅に向上するだけでなく、企業が環境に配慮した持続可能な働き方を実現する場を提供します。エネルギー効率の良い空調システムや最新の断熱技術、自然光を活用した照明設計などが導入される予定です。

2. CASBEE認証の高ランク目標

「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」において、 Aランク を達成予定であり、さらに Sランク取得 を目指しています。この評価は、建物の省エネルギー性能、環境負荷軽減、居住者の快適性などを総合的に評価するものであり、丸の内3-1プロジェクトの建物が環境性能の面でも世界水準を満たしていることを示します。

3. 東京都建築物環境計画書制度での高評価

東京都が定める建築物環境計画書制度において、 BPI(断熱性能) および BEI(省エネ性能) で最高水準の段階3を達成します。これにより、建物全体の断熱性能が向上し、エネルギー消費を抑えながら快適な室内環境を提供します。

4. 持続可能な都市開発のモデルケース

丸の内3-1プロジェクトは、これらの取り組みを通じて、持続可能な都市開発のモデルケースとして注目を集めています。エネルギー効率の高い建物設計や自然との調和を重視したデザインは、環境負荷を軽減するだけでなく、地域住民や訪問者にとっても魅力的な都市空間を提供します。さらに、丸の内エリア全体の環境価値を高める役割を担うとともに、東京の国際的な都市競争力を支える基盤としても機能します。

「丸の内3-1プロジェクト」のアクセスの利便性と新たなネットワークの構築

地下イメージ(都営三田線「日比谷」駅改札付近)
地下イメージ

丸の内3-1プロジェクトでは、交通アクセスの利便性向上を重要な柱の一つとして掲げています。計画では、地下鉄改札を出た瞬間から「街の雰囲気」を感じられる快適な空間を整備し、利用者にとってスムーズで利便性の高い動線を提供します。特に、JR有楽町駅の東西エリアを結ぶ新しい地下通路が整備されることで、大手町・丸の内・有楽町エリア全体の地下歩行者ネットワークがさらに拡充されます。この地下通路は、有楽町駅と直接接続するほか、東京高速道路(KK線)の上部空間再生計画とも連携し、将来的には歩行者中心の公共的空間として再活用される予定です。

さらに、この取り組みは2023年11月に策定された「有楽町まちづくりビジョン」に基づき進行しており、エリア全体で都市基盤整備を段階的に進める中長期的なプロジェクトの一環でもあります。これにより、都心部や臨海地域地下鉄との乗り換え利便性が大幅に向上し、訪れる人々にとってさらに便利で快適なアクセス環境が実現します。丸の内エリアが誇る高い利便性と新たなネットワーク構築は、エリア全体の魅力を一層高める重要な要素となるでしょう。

「丸の内3-1プロジェクト」の意義

丸の内3-1プロジェクトは、丸の内エリア全体に深い影響をもたらす、壮大かつ革新的な都市再生プロジェクトです。この計画が持つ意義は、単なる建物の建替えにとどまらず、歴史、文化、経済のすべてを未来へつなぐ取り組みにあります。

歴史と未来の融合:価値の継承と進化

本プロジェクトは、 帝国劇場出光美術館 といった日本を代表する文化的資産を次世代へ受け継ぎながら、最新技術を駆使した未来志向の街づくりを実現します。

  • 文化的継承: 歴史的建造物や街並みを保存・再構築し、新しい価値を加えることで、地域全体の魅力を向上。
  • 未来志向の賑わい創出: 多機能施設の導入により、ビジネス、観光、文化の多様な交流を生み出し、丸の内・有楽町エリア全体の活性化に寄与します。

低層部の屋上テラスや文化施設は、歴史と現代が融合する象徴的な空間となり、訪れる人々に新たな感動を提供します。

経済的波及効果:東京の国際競争力を強化

丸の内3-1プロジェクトは、東京の都市再生を象徴する存在として、経済的影響を大きく広げるとともに、首都圏の国際競争力を高める役割を担います。

  • ビジネス拠点の進化: ハイグレードなオフィスと商業施設の導入により、国内外の企業誘致を促進。
  • 地域経済の活性化: 訪れる人々の消費活動を通じ、丸の内・有楽町エリア全体の経済がさらに活性化。

このプロジェクトにより、東京が世界に誇るビジネスと文化のハブとしての地位が一層強化されます。

文化と芸術の発信拠点:新しい交流の場を創出

再整備される帝国劇場と出光美術館は、これまで以上に多くの人々を魅了する文化・芸術の拠点となります。

  • 帝国劇場: 新たなデザインと機能強化により、観劇体験を一段と豊かにし、国際的な演劇文化交流を促進。
  • 出光美術館: 展示スペースの拡大と教育普及プログラムの強化により、国内外の来訪者に東洋・日本美術の魅力を伝える拠点に。

これらの施設は、観光客や地元住民にとって、訪れるたびに新しい発見と感動を提供する場となります。

「丸の内3-1プロジェクト」と丸の内エリアの未来像

丸の内3-1プロジェクトは、丸の内エリアの更なる発展を象徴するランドマークとなります。2025年から始まるこの計画は、持続可能性、利便性、そして文化的価値のすべてを兼ね備えた新たなスタンダードを提示します。

1.国際ビジネス拠点としての強化

新しいオフィスビルは、大手町・丸の内・有楽町エリアの高度な業務集積をさらに促進。企業誘致やスタートアップ支援により、エリア全体の経済的価値を向上させます。

2.文化と芸術の新たな発信地

再整備された帝国劇場と出光美術館は、国内外の観光客にとって魅力的なスポットとなり、芸術文化の発展を担う重要な拠点となります。

3.環境性能と持続可能性

  • CASBEE Aランクを取得予定(Sランク取得も目指す)。
  • 都市環境と調和する持続可能な設計。

4.進行中の都市再生プロジェクトとの連携

本プロジェクトは「有楽町まちづくりビジョン」や「丸の内 NEXT ステージ」など、近隣エリアで進行中の再開発プロジェクトとも連携して進められます。これにより、エリア全体の一体感を創出します。

「丸の内3-1プロジェクト」のイメージ画像

まとめ

丸の内3-1プロジェクトは、歴史ある丸の内エリアの新たなランドマークとして、2025年度に着工し、2030年度の竣工を予定しています。このプロジェクトは、歴史的価値の継承と未来志向の発展を見事に融合させた都市再生の新たなモデルとして、東京の国際的競争力をさらに高める重要な役割を果たします。

竣工後には、丸の内エリアが日本を代表するビジネスと文化の拠点としての地位をさらに確固たるものとし、多くの人々にとって憧れと誇りの地となることでしょう。その進捗と成果を見守りながら、未来への期待を膨らませていきましょう。

目次