一人あたりに必要なオフィス面積は?算出方法やオフィスレイアウトをご紹介

オフィスの移転や新設を考える際、最初に悩むのが「どれだけのスペースが必要か」という問題です。

適切なオフィス面積を確保することは、社員の作業効率や快適さに直結するだけでなく、企業のコスト効率にも大きな影響を与えます。この記事では、一人あたりのオフィススペースの基準や、働き方に応じたオフィスレイアウトの考え方について詳しく解説します。

目次

一人あたりに必要なオフィス面積の目安とは?

オフィスで一人あたりに必要な面積は、一般的に2.5坪から3坪とされています。これは実際に作業するデスクスペースの面積ではなく、会議室や受付などのスペースも含めた面積の目安です。

この数字は全員が固定席に座る前提で計算されていますが、フリーアドレスやリモートワークを導入している企業では、必要な面積がさらに異なります。まずは、一般的なオフィス面積の基準について簡単にご紹介します。

法律で定められたオフィス面積の基準

日本の事務所衛生基準規則(昭和四十七年労働省令第四十三号)では、事務所の一人あたりの空間について一定の基準が設けられています。

事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。

-出典:e-gov法令検索 事務所衛生基準規則

上記の通り、オフィスや事務所の一人あたりの面積は10立方メートル(約1.4坪=4.8平方メートル以上)確保しなければならないということが法律で決まっているということは覚えておきましょう。

業種別に考えるオフィススペースの目安

一般的なオフィス面積の目安から、法律で定められている最低限の基準をお伝えしましたが、実際のところはオフィスの用途や業種、働き方によって異なります。

例えば、会議室や役員室、打合せスペースが多い場合や、セミナールームがある場合は、必要なスペースが増えます。一方で、外勤営業が多い業種等では、一人あたりのスペースが2坪程度で済むこともあります。下記は参考値としてごらんください。

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業種面積の目安(一人あたり)
制作会社・クリエイティブ業機材やパソコンなどを使用する場合は広いスペースが必要(3.5坪以上)
IT企業効率的なデスク配置でスペースの節約が可能(2.5坪程度)
法律事務所顧客のプライバシー保護のため個室を設ける場合は広いスペースが必要(4坪以上)
コンサルティングミーティングの頻度が高く、複数の会議室が必要な場合は広いスペースが必要(3坪以上)
人材来客が多く、個室や会議室の設置が複数以上必要な場合は広いスペースが必要(3.5坪以上)
業種別:一人あたりに必要なオフィス面積の目安

必要なオフィス面積の算出方法とは?(計算式あり)

オフィスの一人あたりの面積を効果的に算出するための基本的な方法と考慮すべき要素について解説します。

従業員数で考えるオフィス面積の計算

オフィス面積を考える際、最も基本的で分かりやすい方法は、従業員数に基づいて計算することです。これは、全社員が一斉に出社する場合や、全員分の座席を確保したい場合に特に有効です。従業員数を基に計算することで、全社員が快適に働けるスペースを確保できます。

基本的な計算式は以下の通りです。

オフィス面積(坪) = 従業員数 × 1人あたりの面積(坪)

例えば、従業員が50人で、1人あたりの適正なオフィススペースを一般的な広さである3坪だとします。この場合、オフィス面積 = 50人 × 3坪 = 150坪 となりますので、実際にオフィス検索をする際には150坪前後の物件を中心に探せばいいでしょう。

企業の成長や採用の増加を見越して、若干余裕を持たせた面積を確保することも重要です。適切な面積を算出することで、効率的かつ快適なオフィス環境を整えることができます。

出社率を考慮したオフィス面積の計算

テレワークやフレックスタイムの普及に伴い、全社員が常にオフィスに出社するわけではなくなっています。そのため、オフィス面積を計算する際には、実際の出社率を考慮することが重要です。出社率を考慮したオフィス面積の計算は、過剰なスペースを避け、無駄なコストを削減するために効果的です。

具体的な計算方法は以下の通りです。

オフィス面積(坪) = 在籍人数 × 出社率 × 1人あたりの面積(坪)

例えば、在籍社員が100人で、平均的な出社率が70%の場合、1人あたり2.5坪のスペースが必要だとすると、オフィス面積 = 100人 × 0.7(出社率) × 2.5坪 = 175坪 となりますので、実際にオフィス検索をする際には175坪前後の物件を中心に探す流れになります。

この計算式を用いることで、実際の出社状況に合わせたオフィス面積を算出でき、スペースの有効活用が可能になります。また、出社率は企業の働き方により変動するため、定期的に見直しを行い、柔軟に対応することが推奨されます。

一般的なオフィススペースと面積の配分

オフィスの設計において、従業員一人あたりに必要なスペースは、働く環境の快適さや業務効率に大きな影響を与えます。オフィススペースの配分は、業種や働き方によって異なりますが、基本的な目安を知ることは、適切なオフィス環境を整えるために重要です。

一般的に、オフィススペースは以下のように配分されることが理想的です。執務スペース、会議室やミーティングスペース、受付・応接エリア、福利厚生スペース、収納スペースなど、各スペースの割合を考慮して、オフィス全体のレイアウトを設計します。以下の表は、従業員一人あたりに必要なスペースと各エリアの最適な配分例を示しています。

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スペース配分割合(全体の面積に対する割合の目安)
執務スペース50%~60%
会議室・ミーティングスペース10%~15%
受付・応接スペース5%~10%
リフレッシュスペース10%~15%
収納スペース5%~10%
オフィススペースの例と面積配分の目安表

この配分をベースに、業種や働き方に合わせてオフィスレイアウトをカスタマイズすることで、効率的かつ快適な働く環境を整えることができます。例えば、営業職が多いオフィスでは、執務スペースを少し削減し、会議室やミーティングスペースを多めに設けることが考えられます。一方で、クリエイティブな職種が多いオフィスでは、福利厚生スペースを広く取ることで、リフレッシュとコミュニケーションの場を充実させることができます。

十分なオフィス面積を確保するポイント

従業員が快適に働ける環境を整えつつ、無駄なコストを抑えることは、オフィス移転や新設における重要な課題です。オフィスの面積が大きすぎると賃料や維持費が増加し、狭すぎると従業員の生産性や働きやすさに影響を与えます。

限られたスペースを最大限に活用し、適切な面積を確保するために、いくつかの工夫を取り入れることが効果的です。

  • リモートワークの導入
  • サテライトオフィスの導入
  • ペーパーレス化の推進
  • フリーアドレス制の導入

これらの施策を通じて、出社率に応じたオフィス面積の調整が可能になり、無駄なスペースを省くことで効率化が図れます。また、ペーパーレス化やオフィス家具の見直しにより、オフィス内の動線や空間効率が向上し、さらなるコスト削減も期待できます。例えば、デスクトップパソコンをノートパソコンに変更することでデスク幅を縮小し、一人あたりのスペースをより効率的に活用することが可能です。

次に、これらの取り組みがオフィス面積の最適化や快適な職場環境づくりにどのように貢献するかを具体的に見ていきましょう。

リモートワークの導入

リモートワークを取り入れることで、出社する社員の数を減らし、必要なオフィススペースを最適化できます。リモートワークを効果的に運用することで、コスト削減とスペース活用が実現し、無駄を省くことが可能です。

また、リモートとオフィス勤務のバランスを取ることで、社員の業務効率が向上し、柔軟な働き方が実現しやすくなります。オフィス面積の削減と、社員のワークライフバランス向上が同時に図れるため、導入効果は非常に高いでしょう。

サテライトオフィスの導入

サテライトオフィスは、遠方に住む社員の通勤負担を軽減し、地域拠点としても機能します。出社する社員が分散することで、メインオフィスの混雑が緩和され、面積削減にもつながります。

また、通勤時間を削減できるため、社員の労働負担が軽減され、働きやすさも向上します。企業としても、必要なオフィス面積を調整しやすくなるため、コストやスペース効率の面でメリットがあります。

ペーパーレス化の推進

ペーパーレス化は、オフィス内の収納スペースを削減し、効率的な空間活用を実現します。書類のデジタル化により、物理的なキャビネットが不要となり、クラウドやデジタル管理システムの導入によって、紙資料の保管が不要になります。

これにより、オフィスの見た目もすっきりし、スペースの有効活用が進みます。さらに、印刷コストの削減や業務効率の向上といった付加価値も得られるでしょう。

フリーアドレス制の導入

フリーアドレス制により、固定席が不要になり、より少ない面積で多くの社員が働けるようになります。社員が自由に作業場所を選べるため、コミュニケーションや創造的な働き方が促進されるのもメリットです。

しかし、導入に際しては社員専用のロッカーや共用エリアの設置が求められるため、計画的なスペース配置が必要です。ミーティングスペースや集中エリアを併設することで、多様な働き方に対応できる柔軟な環境が整います。

固定席からフリーアドレスにすると面積は減る?

固定席からフリーアドレスに変更すると、オフィスの面積を減らせる場合もありますが、一概にそうとは言えません。

例えば、140センチの固定机を全員が使用している場合、フリーアドレスへの移行でスペースを節約できる可能性があります。しかし、120センチの机を使用している場合は、面積削減効果があまり期待できないかもしれません。

フリーアドレスでは個人用ロッカーが必要になるため、収納エリアも確保しなければなりません。また、全社員が出社する場合には全員分の席を確保する必要があり、リフレッシュエリアや集中ブースの席数も考慮する必要があります。

【最新】実際のオフィスビルのレイアウトプラン

現代のオフィスレイアウトは、効率的なスペース利用と多様な働き方に対応する工夫がなされています。ここでは、オフィスビルが提供する3つのレイアウトプランを例に、一人あたりのスペースや設備の配置など、具体的な特徴を詳しく見ていきます。

参考レイアウト:新虎安田ビル(400坪、一人あたり2.53坪)

【参考レイアウト】新虎安田ビル:400坪(一人あたり2.53坪)

新虎安田ビルのレイアウトは、一人あたり2.53坪という広めのスペースが確保されています。レイアウト内には固定席とフリーアドレス席が共存しており、従業員が柔軟に働ける環境が整っています。

固定席エリアとフリーアドレスエリアが分かれて配置されているため、集中した作業が必要な場面と、リラックスして作業したい場面に応じて席を選べます。また、複数の会議室や休憩スペースが設置されており、会議や休憩時にアクセスしやすい点が特徴です。

リフレッシュエリアも広く確保され、オフィス全体が働きやすい環境に仕上がっています。

参考レイアウト:PMO麹町ビル(140坪、一人あたり2.29坪)

【参考レイアウト】PMO麹町ビル:140坪(一人あたり2.29坪)

PMO麹町ビルのレイアウトでは、一人あたり2.29坪と少しコンパクトな設計が採用されていますが、機能性と効率性が重視されています。執務エリアには島型デスクが並び、従業員同士のコミュニケーションが取りやすい配置になっています。

加えて、会議室が3種類あり、利用シーンに応じて選択できるのもポイントです。TELブースも4室用意されているため、電話対応が必要な場合でも他の社員に配慮しながら業務を行うことが可能です。効率的なスペース利用と必要な機能を兼ね備えた、バランスの取れたレイアウトです。

参考レイアウト:PMO麹町ビル(140坪、一人あたり2.5坪)

【参考】PMO麹町ビル:140坪(一人あたり2.5坪)

もう一つのPMO麹町ビルのレイアウト、Layout Plan Bでは、一人あたり2.5坪のスペースが確保され、快適な作業環境が提供されています。執務エリアにはフリーアドレス席が56席あり、従業員が自由に作業場所を選べる設計です。また、3つの会議室と3つのTELブースが設置され、プライバシーを保ちながら集中して会議や通話ができる環境が整っています。

さらに、男女別の休憩室も完備され、従業員がリフレッシュしやすい工夫がなされています。スペースを最大限に活用しつつ、快適性と機能性を両立させたレイアウトが特徴です。

オフィス移転時に押さえるべき面積の計算ポイント

必要になる面積が計算できたら、実際に物件を検討しましょう。ここで注意しなければいけないのはオフィスの面積の表示です。表示されている物件の面積は必ずしも、実際に専有で使える面積とは限りません。

ネット面積とグロス面積の違いを理解する

ネット面積とは契約面積が貸室内のみで算出していること。一方でグロス面積とは上記のネット面積にトイレや水回りなどのスペースまで含んだ面積のことを言います。

最初、オフィス物件を借りるときの面積としてイメージしやすいのはネット面積のように借りることで専有できる面積でしょう。しかし、物件情報に表示されている面積がネット面積だと思っていたらグロス面積だったということもあります。広い物件を借りるつもりが、内見時にガッカリなんてことにならないためにも表示されている面積が何をあらわしているものか確認しましょう。

物件の面積は希望のオフィスを絞り込むための第一段階です。まずどれだけの面積が必要か、人員の増減や設備導入があるかなどを検討して必要な広さを割り出しましょう。複数の物件を公平な条件で比較するためにも、使われている用語についても理解しましょう。

まとめ:ワークスタイルに合わせたオフィス面積の検討を

オフィス面積の適正化は、業務効率や従業員の満足度を左右する重要な要素です。業種や働き方に応じて、適切な面積を確保することで、快適で機能的なオフィス環境を実現できます。

また、定期的なレイアウトの見直しや、専門業者への相談を検討することで、常に最適なオフィス環境を維持することが可能です。ワークスタイルの変化に対応し、柔軟なオフィス設計を心掛けましょう。

弊社が運営する賃貸オフィス検索サイト「officetar(オフィスター)」では、首都圏を中心としたオフィスビルテナント情報を幅広く掲載しております。経験と実績が豊富なスタッフがオフィス移転の成功をサポートいたします。また、採用計画や事業計画などに基づいて適正な面積をご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。

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