オフィスレイアウト変更で見逃されがちな廊下の安全基準~法律と基準寸法について~
新型コロナウイルス感染症の感染リスクを防ぐために、オフィス空間の飛沫対策などが求められています。その内容として、オフィスに仕切りやパーテーションを設置したりするなどのレイアウト変更が考えられますが、その際、消防法が適用される場合があります。
また、オフィスのレイアウトは企業のイメージにもつながりますのでとても重要になります。しかし、どのようなデザインでも採用できるわけではありません。
特に、廊下や通路は消防法や建築基準法に基づき、安全性をしっかり考えたデザインにすることが必要です。
今回は、オフィスレイアウト変更時に遵守すべき消防法や建築基準法についてお話いたします。
オフィスの廊下
廊下や通路の幅には法律で一定の基準が設けられている部分もあります。廊下や通路は非常時の避難経路となりますので、安全を考えた幅を確保することが必要です。
具体的な幅の目安は、最低でも人ひとりがスムーズに通ることができる幅です。ただし、主要な廊下や通路はたくさんの従業員が余裕をもってすれ違える幅にすることをおすすめします。人の肩幅が45㎝前後で考えた場合、廊下や通路は60㎝前後。また、主要な廊下や通路の場合は、1.2m前後が目安の幅となります。
建築基準法が定める廊下幅
オフィスをデザインする場合に気を付けなければいけない制限の1つが、建築基準法です。建築基準法とは、建物の最低基準を定めた法律で、廊下に関する基準も明記されています。
その中でも、オフィスの廊下に適用される条件をご紹介いたします。
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が100平方メートルを超える階における共用のものまたは三室以下の専用のものを除き、居室の床面積の合計が200㎡(地階の場合、100㎡)を超える階におけるもの
➡両側に居室がある廊下・・1.6m以上
➡その他の廊下・・・・・・1.2m以上
例えば、シェアオフィスのように廊下の両側に部屋がある場合、両側のドアが開いても通れるよう幅1.6m以上を確保しなければいけません。両側ではなく、片側だけ(片側が廊下など)の場合は、条件が緩和されるので、幅1.2mを確保しましょう。
また、幅を計測する際に気を付けることは、まず廊下の幅は内法で計測することが基本です。内法とは、建物の内側を計測することを言います。壁の内側から反対側の壁の内側までの幅を計測します。また、柱などが廊下の途中にある場合は、廊下で最も狭い部分の幅を参考としましょう。柱などの厚みのあるものを廊下のレイアウトに入れるときは、幅を圧迫しすぎない厚さにしましょう。
消防法が定める廊下幅
オフィスは一見すると、火気のないように思えますが、電子機器やコンセントのショートなどによる火災が起こることも考えられます。
万が一のときに迅速な避難行動がとれるように、消防法の条件もしっかり確認が必要です。
オフィスビルなどの火災で注意するべき問題は、廊下や非常口付近が備品などで塞がれていることで避難ができない事例があることです。必要以上の備品や荷物を置いてスペースを狭めないよう気を付けましょう。
また、消防法では消化設備・警報設備・避難設備・消防活動用設備などの設備が義務付けられています。オフィスの場合、パーテーションを使う場合は、高さと設置場所の注意が必要です。天井に届くほど高いパーテーションは壁として扱われます。消防法は、避難経路や避難階段までの距離も重視されるので、距離が遠くなると指導が入る場合もあります。
さらに、オフィスレイアウトを考える際には、オフィス家具のレイアウトも重視しましょう。十分な幅を確保したつもりが、選んだ家具の大きさにより思っている以上に狭くなることも考えられます。
図面や数字だけを参考にレイアウトを考えると失敗することにつながります。理想のオフィスレイアウトを考えるためには、利用する家具などは可能な限り自分の目で確認した上で選ぶことが重要です。最適なオフィス空間が作れるよう、レイアウトと家具の両方をしっかりと見て検討しましょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染リスクを防ぐために、オフィスの仕切りやパーテーションを設置したりするなどのレイアウト変更する際は、今回ご紹介しました「消防法や建築基準法の概要などの規定を遵守できているか」をしっかりと確認することが重要です。
災害時に従業員の安全を確保するためにも消防法や建築基準法で決められた数字はしっかり把握しておきましょう。
はっきりした数字が決められてない部分も、スムーズに仕事ができるよう余裕のある配置やデザインが求められます。
オフィスレイアウトを考える際は、レイアウトだけではなく家具のバランスなどの確認をし、安全面を意識して従業員が働きやすい環境を整えましょう。