段取りが分からない!?ときのオフィス移転マニュアル
オフィス移転の際は、移転先の物件探しをはじめ、電気工事や内装工事などやることがたくさんあります。ひとつひとつ確実に進めていくことが大切ですが、いつ、何から始めるのか分からない方も多いと思います。
今回はオフィス移転のマニュアル、段取りやスケジュールを説明いたします。
コンセプトを決める
オフィス移転の計画はしっかりとコンセプトを決めることが大切です。
移転の目的や、移転先の要件、オフィスデザインのコンセプトをしっかり把握し、理想のオフィスを実現しましょう。
マスタースケジュールを作成
マスタースケジュールとは、主要な工程を開始から完了まで、時系列にまとめて全体の流れがわかる予定表になります。
全体のスケジュールを把握することで、大体の移転時期がわかります。不動産関連や内装工事、原状回復までのマスタースケジュールを計画しましょう。
不動産関連
物件情報の収集、現地内覧、申込、交渉、賃貸借契約の締結、鍵の引き渡しなど
内装工事
レイアウト作成、内装工事発注、パーティションなどの製作、引越しなど
内装工事の期間は内容により異なるので確認が必要です。
原状回復
移転元ビルの原状回復工事、明渡しなど
予算の策定
予算の策定
- 移転先ビルの初期費用
オフィスは通常の住居に比べ、保証金など高額になる場合がありますので事前にしっかり確認しましょう。(敷金・保証金・礼金・保証委託料・仲介手数料など…)
入居工事費用
内装のイメージにより相場が異なります。
デザイン性が高いオフィスの場合、坪単価30万円以上はみたいところです。
できるだけ費用を抑えて工事を少なくした場合は、坪単価10万円以下が大体の相場になります。
【坪単価×移転先面積(坪)=工事費用】
中規模以上のビルでは、工事業者の区分が定められています。
工事の金額はビル側指定業者の工事範囲が大きいと費用が高くなる傾向があります。
入居工事の内容
電気工事・セキュリティ工事・内装工事・空調工事・防災工事・什器購入・ネットワーク工事・引越し…
内装工事にはパーティションなどがあります。パーティションの種類は利用目的により使いわけることができます。
空調工事はエアコンの増設、吹き出し口の移設などが考えられます。
防災工事は、パーティションを天井まで設置し、ランマを閉じる場合は防災工事が必要になります。その他には、非常灯、スピーカー、煙感知器、スプリンクラー、誘導灯、消火器、耐震固定器具などが主な防災設備です。
原状回復工事
一般的には、原状回復工事は貸主指定の工事業者で行います。工事費用の目安は、指定業者なしの場合は、坪単価3万円~5万円程度ですが、指定業者有りの場合は、坪単価5万円~10万円となり、比較的高くなってしまいます。そのため、価格交渉をするのが良いでしょう。
相見積もりや、発注者側に立ってコスト管理などを行うコンストラクションマネジメント、または専門のコンサルタントに相談することをお勧めいたします。
原状回復工事の主な項目
- タイルカーペット張替え、OAフロア調整
タイルカーペットは全面張り替えが一般的です。
OAフロアは長年入居しているとがたつきが出てきますので原状回復の対象となります。
- 壁紙張替え・塗装
壁紙も全面張り替え、もしくは塗装が一般的です。
壁紙は品番が欠番になることも多く、その場合は同グレードの商品で張り替えることもあります。
- 電気設備・電話工事
オフィスの場合、分電盤から各デスクへ配線工事をするため、使っていない配線が残らないように退去後は配線を撤去します。
- クリーニング
電灯やトイレ、給湯室、ブラインドなどはクリーニング、使用状態や年数により交換となるものもあります。
物件情報の収集
1.オフィスの空室率と市況感
空室率が3%未満の場合は、空室は少なく引き合いが被ることが増えるため条件交渉することは難しくなります。また、フリーレントは期待できません。
一方、4%~5%の場合は、需要と供給がちょうど良いとされる市況です。フリーレントは2カ月から3カ月程度期待できます。
さらに7%超えの場合は、空室が多いため条件交渉しやすくなります。6カ月以上の長期フリーレントも期待できます。苦戦物件の場合は1年間のフリーレントが取れることもあります。
【東京都心エリア】オフィス空室率と平均賃料の変遷
2.物件情報
物件情報には公開情報と非公開情報があります。ネットに公開しているか、または貸主や管理会社の意向で、ネットの掲載を不可としているかになります。
さらに未公開情報、未解約情報があります。正式募集開始前の情報や、解約前の二次空室情報、居抜き物件情報等があります。
オフィス専門の仲介会社であれば、公開情報と非公開情報の量はほとんど同じですが、未公開情報や未解約情報の量と質には差が出る場合があります。
3.賃料表記
入居のタイミングなどによりテナント毎に賃料が異なるため、貸主側の意向でネット上では「相談」と記載されているケースが多いです。
※オフィスレイアウトのトレンド
個々のワーカーの活動に合ったワークプレイスを使い分けるオフィスプランがあります。仕事内容に合わせて選ぶことが可能です。仕事内容や人数に合わせてフレキシブルに場所を選んで働くことができます。
ABW(アクティブベースドワーキング)の考えにもとづく「10の活動」
(イトーキHPより抜粋)
内覧時の確認事項
1.アクセス
周辺環境(頻繫に行き来する銀行や役所、商業施設の有無など)
駅からの距離や道のり
2.共用部分
他の入居テナントの業種の確認。同業他社が入居している場合、オーナー様から断られる場合も考えられます。
エントランスの開閉時間
共用部の清掃の有無、費用負担の有無
案内板や看板の確認
郵便ポスト(土日の対応の確認)
搬出入の経路
駐車場の有無。賃料の確認。また、使用可能時間や平面か機械式かなど。
車寄せ、来客時の対応
駐輪場有無
3.専用部分
OAフロアの材質、高さの確認
天井のタイプには在来型、システム、ライン式、グリッド式などがあります。
空調システムの確認(個室、セントラル、ペリメーターなどがあります。)
空調吹き出し口の数と位置(カセット、アネモ、ラインなどがあります。)
個別空調増設の可否
電気容量
柱の位置
ごみ出し方法
セキュリティカードの作成費用
眺望、騒音
入退館の方法
指定工事区分
避難安全検証
候補物件のレイアウト作成
専門業者によりサンプルレイアウトを作成してもらい、最終的に当初の移転目的に適したレイアウトかどうかを確認しましょう。
ぜひオフィス移転の際には上記事項を参考にしてみてください。
分からないことや不安な点がある場合は弊社までお問い合わせください。