小規模な空間を活用! “狭いオフィスのレイアウト・内装デザイン”
オフィスが狭くてストレスを抱えている方は多いのではないでしょうか?
そこでまっさきに思いつく解決策はオフィス移転ですが、コストがかかります。
今回は、限られたスペースを有効活用し、開放感のある快適な空間に変身させるための工夫をご紹介したいと思います。狭いオフィスでも現状のオフィスのスペースの使い方を工夫する「省スペース化策」を取り入れれば、余裕のある空間でストレス無く仕事をすることが可能です。
ストレスの要因となるオフィス環境
オフィスの中でどういったことが、ストレスの要因となっているのかを考え、改善していけば、狭い空間でも、より快適なオフィス環境になります。
音
意外に思うかもしれませんが、無音のオフィスは社員を不安にさせたり、集中力を低下させたりします。あるアンケートでも、無音のオフィスで働いているビジネスマンの半数以上が、音の無い状態を「居心地が悪い」と回答しています。
その一方で、雑音が多すぎるオフィスも、社員の集中力を妨げ、ストレスの原因になります。
BGMや自然音の導入などで、静かすぎず、うるさすぎないオフィス環境をつくっていくことを意識してみるといいかもしれません。
明るさ
オフィス内の光が強くなり過ぎると、社員がストレスを感じることにつながります。特に社内業務では、パソコンやスマホの画面をずっと見ていることが多くなり、その光によって眼精疲労をはじめ、肩こりや頭痛など、肉体的な負担を感じやすくなります。
たとえば、同じ明るさでも直接照射せず、間接照明にしたり、昼間太陽の出ている時間は自然光が入るように大きな窓を設置するなど、直接光を浴びないよう工夫をするのも良いのではないでしょうか。また、ブルーライトメガネの使用を推奨するなどし、オフィスで浴びてしまう光の量をうまく調節できる環境を整えてあげるのも良いでしょう。
プライバシー
一人ひとりのプライバシーが確保されていない状態も、社員にストレスを与えます。
人や業務によっては、視線が気にならないという場合もありますし、予算の都合もあるので全員のデスクにパネルを設置するというのは難しいかも知れませんが、たとえば、可動式のパネルで四方を囲んだ空間を準備し、「集中したい人はその場所で業務が出来るようにする」といったように、視線が気にならないスペースを用意するだけでも、効果は期待できます。
整理・整頓・清潔
デスクに書類が山積みになっていたり、掲示物が剥がれかかっていたり、整理・整頓されていないオフィス、備品や設備が汚い、トイレが汚いオフィスも社員のストレスの原因となります。
そのため、社員が気持ち良く仕事に取り組める備品や設備は、会社側でしっかり整えましょう。また、オフィスがオシャレで居心地がよく、トイレも清潔な状態にしておくことは、社内満足度の向上にもつながります。
※『社内美化週間』などを設定して、社員の意識改革を行うことも設備で対策を図るのと同様に、有効な取り組みになります。
空調
空調設備が整っていないことも、社員に心理的、身体的ストレスを与えます。
オフィス内の室内温度調整、加湿/除湿や空気清浄設備を整えることも必要です。
限られた空間を活用するレイアウトのコツ
スペースの要件を精査する
オフィスレイアウトを考える際の最初のステップは、自社にとって絶対に必要なスペースを特定することから始まります。このプロセスは、効率的で機能的なレイアウトを計画する上での基盤となります。各企業には独自のニーズがあり、それに応じてスペースの要件が異なります。例えば、クリエイティブな作業を行う企業にはオープンなコラボレーションスペースが必要かもしれませんし、プライバシーが重要な業務の場合、個別のオフィスや会議室が必要になるでしょう。こうした自社固有の要件を理解し、それに基づいて必要なスペースを洗い出すことが重要です。
また、オフィスの物理的な空間とニーズをバランスさせるためには、図面上でのスペース配置の確認が欠かせません。図面を用いることで、オフィス内の動線、作業スペース、会議室などの配置に関して、より効率的かつ実用的なレイアウトを視覚的に計画できます。具体的には、図面上でデスク、椅子、収納キャビネット、会議室などを配置してみることにより、空間の使い方や動線の流れに関して、事前に様々な問題点や改善策を検討することが可能となります。これにより、実際のレイアウト変更前に、オフィスの機能性や使い勝手を最適化することができるのです。
このプロセスを通じて、企業は自社の特定のニーズに最も適したオフィス環境を作り出すことができます。必要最小限のスペースに集中し、無駄な空間を排除することで、限られたオフィススペースを最大限に活用し、より生産的で快適な職場環境を実現することが可能になります。
パーテーションの利用
オフィス空間の効果的な区分けには、パーテーションの使用が非常に有効です。特に、可動式で背の低いパーテーションは、オフィス内のスペースを柔軟に変更できるため、多様な作業やミーティングのニーズに応えることが可能です。この種のパーテーションは、プライバシーの保護とオープンなコミュニケーションのバランスを保つのに理想的です。不要な時には収納し、必要な時には簡単に設置できるため、オフィスの使い勝手を大きく向上させます。
また、背の低いパーテーションは、閉塞感を軽減し、オフィスの開放感を維持するのに役立ちます。これにより、スタッフは自分のデスクで集中して作業ができる一方で、周囲の同僚と容易にコミュニケーションを取ることができます。このようなパーテーションの使用は、特に狭いオフィス空間において、空間の活用度を高め、働きやすい環境を作り出すのに適しています。
さらに、背の高いパーテーションは、時に圧迫感を与え、オフィスの開放感を損なう可能性があるため、狭いスペースでは避けるべきです。代わりに、背の低いパーテーションを使用することで、必要に応じて部屋を区切りつつも、オフィス全体の快適さと機能性を保持することができます。着席しての作業においても、これらのパーテーションは十分な集中力を提供します。
このようにパーテーションを上手く活用することで、オフィスの使い勝手と快適さを大幅に改善できるため、空間管理において非常に重要な役割を果たします。
コンセントの配置
オフィスの機能性と使い勝手を向上させるためには、コンセントの数と位置が非常に重要です。適切な位置に十分な数のコンセントを配置することで、延長コードの必要性を減らし、スペースを効率的に利用し、見た目もすっきりと保つことができます。このことは、オフィスのレイアウトを考える際に特に重要であり、パソコン、プリンター、その他のオフィス機器の配置計画を立てる時には、事前にコンセントの位置を検討する必要があります。
オフィスにおけるコンセントの位置と数を計画する際には、デスクや会議スペース、休憩エリアなど、様々な場所での電源の必要性を考慮することが重要です。たとえば、デスクエリアでは、パソコンやモニター、電話などの電源を確保するために十分な数のコンセントを設置する必要があります。また、会議スペースでは、プレゼンテーション用の機器や参加者のラップトップの充電に利用できるコンセントを設けることが望ましいでしょう。
このように、コンセントの数と位置を適切に配置することは、効率的な作業環境を作り出し、オフィス内の電源管理をスムーズにする上で不可欠です。また、適切なコンセントの配置は、安全上の観点からも重要であり、電源コードの乱雑な配線による転倒リスクや、過負荷による電気的な問題を防ぐことにも寄与します。レイアウト計画の初期段階でコンセントの配置を慎重に検討することは、オフィス空間の機能性を最大限に引き出す上で重要な要素となるのです。
フリーアドレスの導入
フリーアドレスシステムは、特に外出が頻繁な職種が多いオフィスにおいて、空間の有効活用と作業の柔軟性を高める効果的な手法です。このシステムでは、従業員が固定のデスクを持たず、必要に応じて任意の作業スペースを利用します。これにより、オフィス内に全員分の個人用デスクを設置する必要がなくなり、空間をより効率的に活用できるようになります。
特に営業や顧客サポートなど、日中外出することが多い職種では、フリーアドレス化は特に有効です。従業員がオフィスにいる時間が限られるため、デスクを共有することで無駄なスペースを削減し、省スペース化を図ることができます。また、社内業務が主体のオフィスでは、大きな共有テーブルを設置し、従業員が協力して使う方法も考慮に値します。この場合、各個人の収納はデスク周りではなく別の場所に設置することで、さらなる省スペース化が達成できます。
フリーアドレスシステムの導入は、従業員にとってもメリットがあります。新しい場所で作業することで新たなコラボレーションが生まれる可能性が高まり、社内コミュニケーションの促進にも寄与します。また、異なる場所での作業は創造性や生産性の向上にも繋がる可能性があります。このように、フリーアドレスシステムは、空間の有効活用だけでなく、働き方の質の向上にも寄与するため、多くの現代オフィスにとって魅力的な選択肢となっています。
デッドスペースの活用
オフィス内の未利用の空間、いわゆるデッドスペースを有効活用することは、限られたオフィス空間の効率を大幅に向上させることができます。特に、天井が高い場合や壁面が空いている場合は、収納スペースや多目的に使用可能なエリアを確保する絶好の機会です。
例えば、天井が高いオフィスでは、背の高い棚を設置して書類や備品を収納することが可能です。これにより、床面積を占めずに大量の物を整理できるため、広々とした作業スペースを確保することができます。また、壁面を活用してホワイトボードやプロジェクタースクリーンを設置することで、手軽に会議スペースやプレゼンテーションエリアを作り出すことができます。
オフィス空間を全体的に見渡し、利用されていない壁面や天井の高さを活用することで、オフィス内の機能性と利便性を大幅に向上させることが可能です。これにより、オフィスの使い勝手が向上し、従業員の生産性や満足度も高まる可能性があります。また、デッドスペースの活用は、オフィスの美観を向上させ、働く環境をより快適にすることにも寄与します。このように、未活用の空間を見つけ、それを有効活用することは、オフィスの機能性を最大化する上で非常に重要な要素となります。
狭いオフィスを開放的にみせる内装のコツ
色を活用する
同じ空間でも「視覚的演出」を利用することで、開放感のある空間に感じさせることができます。たとえば、人が白などの淡い色(膨張色)の服を着ると太って見えるのと同じように、淡い色を壁や床、天井に用いることによって狭い空間を広く見せることができます。
また、色には飛び出して見える色(進出色)と引っ込んで見える色(後退色)があります。その原理を利用すれば、同じ広さのオフィスでも、奥の壁紙、またはカーテン一枚で奥行きを錯覚させ、広く感じさせることもできます。さらに、オフィス全体をスッキリと見せるためには、天井や床、壁の色だけでなく、デスクやチェアや棚、デスク周りの収納インテリアも同系色でまとめるとより効果的です。
目線を下げる
視線を遮るものをなるべく少なくするのも効果的です。視線を遮るものがなければ、オフィスを見渡すことができ、限られた空間でも圧迫感を軽減することがでます。たとえば、空間を区切るパーテーションを低くしたり、背の低い収納家具などを選んだりする工夫も効果的です。
照明(明かり)
部屋の明るさも、広さの印象を左右します。明かりがあたる面が増えれば、空間も大きなものに感じます。照明を沢山つければよいという訳ではなく、明かりが反射する面を増やすことが重要です。
また、壁紙に明かりを反射しやすい明るい色を使ったり、オフィス家具を淡い色や木製の家具にするのも有効です。
デスクのサイズを小さくする
昔のパソコンは大型でしたが、最近ではパソコンが小型化してきています。一回り小さなデスクでも不自由なく仕事ができます。
以前は横幅が1,200mm、奥行きが700mmのデスクが一般的でしたが、最近では横幅が1,100mm、奥行きが600mmのデスクも増えてきています。
最先端のテクノロジーを取り入れる
最先端のテクノロジーを取り入れることは省スペース化だけではなく、スタイリッシュで洗練されたオフィス空間作りにも有効です。
たとえば、セキュリティ対策に防犯カメラを設置しなくても、小型でデザイン性が高く、iPhoneと連携することによっていつでも、どこでもオフィスの様子を見ることが可能なものや、空気清浄機では室内の空気を監視して、問題があると知らせてくれる、小型スピーカーのようなデザインで場所を取らない製品など、その他にも小型でありながら機能性が高いデバイスはたくさん発表されています。
書類の電子化をする
かさばる書類をスキャニングして、サーバやハードディスク内で管理するようにすれば、これまでオフィスの壁一面を専有していた書類棚を撤去することも可能です。文書保管のために大きなオフィスを借りている企業もあるかもしれませんが、書類の電子化を利用すれば家賃を大幅にカットすることもできるでしょう。
また、膨大な紙の書類の中から必要なものを探し出すのは下手をすれば一日仕事にもなりかねません。しかし、サーバで共有できれば自分のパソコンから瞬時に検索もでき、作業効率をアップさせることができるでしょう。営業先や出張先からも参照でき、ビジネス・シーンでの有効活用が期待できます。
共有スペースを有効活用する
オフィスが狭いと打ち合わせスペースも十分に確保することができません。しかし、実は「月に3回程度しか使用しない会議室」というような空間を見落としている場合もあります。会議以外にも使用できるスペースにするなど、多目的ルームとして活用するというのも一つの方法です。
香り
香りが社員の生産性に大きな影響を与えることが明らかになっています。
レモンの香り漂うオフィスで働くと、社員のミスは54%も減少することや、ペパーミントの香りは業務パフォーマンスのスピードを向上させることがわかっています。また、香りはストレス軽減、疲労緩和などの効果もあります。
アロマセラピーはオフィスデザインのなかで最も重要なものではありませんが、小規模なオフィスの快適化には、かなり有効なアイテムではないでしょうか。
長期的な解決手段
以上のように狭いオフィスをさまざまな工夫によってある程度快適にすることは可能です。しかし、抜本的に解決するために長期的には移転も視野に入れることをおすすめします。
オフィス移転を考えるにあたっては、まずどのような理由で手狭になっているのかを正確に把握することが必要です。もし、スタッフが増えたことが一番の原因ならば、狭いオフィスでは物理的な限界もあるでしょう。早急に移転を実行することをおすすめします。しかし、現状の人数に合わせていては遠からず再度引っ越しが必要になってしまうでしょう。必ず、5年先の事業計画まで考えてトータルで何人増えることになるのかシミュレーションしてみることをおすすめします。
もし、文書類がかさばっていることが主な原因ならば、オフィスを移転する必要は必ずしもないかもしれません。まず、どこまでの文書を電子化できるのか、それによってどれぐらいオフィスが広くなるのかを計算してからでも問題ないでしょう。最近では全文書を電子化してしまう企業も増えています。文書の電子化と移転のためのコストを比較して検討してみてはいかがでしょうか。
オフィスを手狭に感じているならば、まず、なぜそう思うのか原因を正しくつきとめてください。レイアウト変更、スペースの有効活用、文書の電子化などである程度オフィスを広く感じさせることもできます。しかし、やはり根本的に移転が必要となるケースもあるのです。どちらが適切なのか、まずは正しく判断することからスタートしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
小規模オフィスはスペースが少ないぶん、利便性や自由度が低いと思われがちですが、工夫次第で快適な環境にすることは十分可能です。また小規模だからこそ、ユニークでデザイン性の高いオフィスも比較的簡単に作ることも出来ます。
一日の大半を過ごすオフィスが快適な空間であることは、そこで働く社員の仕事の効率が上がるだけでなく、精神衛生的な面でもメリットが大きいはずです。今回の記事でご紹介してきたことを参考にしていただき、スペースがないからとあきらめずに、ぜひ快適なオフィス作りに挑戦してみてください。