自社ビルを賃貸オフィスへ転用する方法
自社ビルを所有している方、眠っているスペースはありませんか。また自社ビルを資産として有効利用したいと考えている方、そんな方には賃貸オフィスへの転用をおすすめいたします。
東京エリアの賃貸オフィスの空室率は2%前後とオフィスの需給は逼迫しており、平均賃料も上昇が続いています。また今後の求人倍率をみても企業の採用意欲は強く、オフィス需要が過多な状況が続きそうです。
築年数が経っている、立地条件が良くない、改修には費用がかかりそう、貸しビル経営は大変そうなどの理由で賃貸オフィスへの転用をためらわれている方に、今回は自社ビルを賃貸オフィスへ転用する方法についてレポートいたしました。
賃貸オフィスにするには
契約面積の確定をする
確実に収益があがる賃貸オフィス経営をするためには、長期的な収支をシミュレーションしなくてはなりません。
その基となるのは契約面積です。毎月の収入を算出するためはもちろん、転用費用や運営時の維持費の算出にも、契約面積(どれだけの面積を賃貸できるのか)の確定が必要です。
各階でセキュリティを設ける
個人情報保護法の施行以降、企業のオフィスにおける重要な要素になっているのがオフィスのセキュリティ対策です。
近年の情報漏洩事件の多発やマイナンバー制度の運用スタートもあり、企業には今まで以上にオフィスのセキュリティ対策を強化することが求められており、賃貸オフィスもセキュリティ管理しやすい環境が整っているものが選ばれます。
管理会社を設定する
オーナー自らビル管理をおこなうのは、日常業務ですのでとても大変です。オーナーに代わり、日常清掃、設備の管理・点検、巡回見回り、保守管理、警備業務、防災消防管理、植栽管理、美観管理、テナントからのクレームなど、ハード面の管理業務を請け負ってくれる管理会社を設定しましょう。管理の質がビルの資産価値や賃料収入を左右するといっても過言ではありません。最適な価格と最適なサービスを提供してくれるパートナーをしっかり選び、賢明なビル経営を進めましょう。
※管理会社の中には、サービスも物件管理の一つと捉えて、PMの仕事(後述)の一つである賃貸不動産物件に対するテナント付けを行うリーシング業務、仲介業務、コスト管理業務などソフト面のサービスを提供している会社もあります。
募集窓口を依頼する
テナントを募集してくれる募集会社選びはビル経営をしていくうえで非常に重要です。募集会社の中には、昔ながらの物件に張り紙をだしてお決まりの流通資料を流すのみ…というような会社も、実は多くあります。
募集方法には色々なものがあり、テナント募集会社がどのような募集方法に力を入れているのか知る事により、ある程度会社を絞る事ができます。(インターネット・ダイレクトメール・情報誌・チラシ・ポスティング・企業売り込み・不動産会社流通など)
また、1つの媒体だけで広告をした場合、マーケットに埋もれてしまいターゲット層まで届かない可能性が高いので、複数の媒体で広域に発信すればターゲット層に知っていただける可能性が増し、優良なテナントを見つける事につながります。
契約書をつくる
テナントが決まったら、オーナーとテナントとの間で賃貸借契約を結びます。契約結ぶ前に契約書の作成をしなくてはいけません。
最近ではインターネット上で賃貸借契約書の雛形をダウンロードできるようにもなりましたが、インターネットで取得できる雛形は、あくまでも雛形に過ぎません。賃貸借契約を締結するうえで最低限のことしか書いていなかったり、片方の当事者にだけ一方的に有利な内容となっていることもあるため、いざトラブルが発生した場合に思いもよらなかった損害を被るおそれがあります。
賃貸借契約において、もっとも争いの元になりやすいのがお金を巡る問題です。賃料はもちろん、共益費、振込手数料、光熱費、賃料を滞納したときの遅延損害金、さらにはこれらの費用の支払い期日や支払い方法などについて明確に定めましょう。また、物件を何のために利用するつもりなのか契約前によく確認し、契約書に反映させるようにしましょう。
館内規則をつくる
館内規則は賃貸借契約と一体を成すものであり、ビル管理の円滑な運営、館内のテナントがお互いに秩序ある快適な利用を図ることを目的として定めます。
賃貸建物の使用方法に関する細かい定めを記載します。例えば、(1)出入口の開閉、(2)共用部分の使用方法、(3)冷暖房、給湯施設の運転時間、(4)清掃、塵芥等の処理方法、(5)設備の新設、変更、除去等の方法、(6)防災上の遵守事項、(7)禁止事項 (危険物の搬入・宿泊・他のテナントへの迷惑行為等々)などの諸事項です。
管理会社とPMの違い
賃貸オフィス経営において重要な、ビル管理業務、テナント募集業務を委託す「管理会社」「PM」(プロパティマネジメント)。ビル経営をスムーズに、有益に行うためには、どのような業務を行ってくれるのか熟知したうえで業者を選択しましょう。
まず管理会社は前述いたしましたように、主にモノ(物件、付帯設備など)を対象にしたハード面の管理業務を請け負います。一方PMの業務は、空室の募集、案内活動といったリーシング業務のほか、契約締結業務、賃料の回収、滞納督促、トラブル時の対応、工事発注・管理、オーナーへの報告業務など、人(入居者、オーナーなど)を対象にしたソフト面の業務を中心に請け負います。さらに、オーナーの資産全体を対象に業務を行うPM会社もあり、オーナー向け不動産資産活用のコンサルティング、法務サポート、税務アドバイスといった不動産に付随したサービスを提供しているケースも見られます。
また報酬について、管理会社は契約仕様書に定められた定型業務(巡回や清掃など)を固定費で請け負うケースがほとんどのため、物件自体の収益性は報酬に関係しません。それに対して、PMは管理している建築物が生み出した収益に連動して報酬を受け取るケースがほとんどのため、その業務内容や取り組む姿勢は、管理会社とは全く異なり、収益を最大化するために努力をしてくれます。
最近の流行りのオフィスとは
前述したように、セキュリティを重視したオフィス環境があることが求められています。
次に働き方改革を進めるうえで、テナントの業務にあった様々なワークスタイルを取り入れられるオープンなオフィス空間。誰がどのように使ってもよい=自由•選択を認める建築や設備が求められています。また、従業員が物理的に快適と感じられる、明るくて十分なスペースがある快適なオフィス空間であることも重要です。
自社ビルを賃貸オフィスに転用するにために、以上のことを考慮して改修工事をする必要があります。
しかし高額のコストをかけて改修工事をすると、資金回収のリスクが高くなります。ここでおすすめするのは、無駄なコストは削減して、できるだけテナントが付きやすい、時代の変化に合わせたオフィス空間に仕上げるリノベーションです。例えば、古くて暗いオフィスもライトと壁紙を変えるだけで、明るく開放感のある空間になります。
ビルの特性・構造・部屋の形を活かし、最低限の工事で魅力的なオフィス空間を演出する、低コストで効果的なリノベーションプランを設定しましょう。
賃料設定をしましょう
適切な賃料設定も重要です。賃料を決定する要素は、「利回り」「収益」「競合との比較からみた賃料の算出」「物件そのもの魅力と周辺環境」の4点です。
なかでも賃料を決める際に、周辺の競合調査は必須です。競合調査の結果、自分の賃貸物件の相場はこれぐらいだという価格帯が見えてきます。その賃料が、利回りや収益を考えた賃料との間に大きな開きがある場合、賃料を見直すか何らかの付加価値をつけて物件そのものの魅力を上げる必要があります。逆に賃料が周辺競合に比べて割安なら、競合レベルよりも少し下ぐらいまで賃料を上げてもいいでしょう。
オフィス需要が高まり、働き方改革によりオフィスの在り方も変化している今、自社ビルを賃貸オフィスビルへ転用することはかなり有効な資産運用の方法です。ただ賃貸オフィスビル経営に対する知識の少ないオーナー様にとっては、賃料相場や改修費用等不安な問題が多くあり、簡単には決断できないと思います。
当社では、自社ビルを所有しているオーナー様に、どのような物件かにかかわらず、物件の有効活用やリノベーションプラン、テナント募集・ビル管理まであらゆるご相談に対応いたします。是非一度、当社にご連絡をいただければ幸いです。オーナー様の利益を最優先に、対応させていただきます。