免震構造と制震構造の違いとは?仕組みから考えるオフィスビル選び

積層ゴムのカット模型

日本は地震大国として知られており、そのため建物の安全性や耐震技術への関心が高まっています。

特にオフィスビル選びにおいても、安全性は重要なポイントの一つとなります。

そこで、今回は免震構造と制震構造の違いについて詳しく解説し、その仕組みを通じてどのようにオフィスビルを選ぶべきかを考えてみたいと思います。

目次

免震構造と制震構造について

免震構造と制震構造は、建築物が地震の揺れにどのように対応するかという観点から、それぞれ異なる技術やアプローチを取り入れた構造です。以下に、それぞれの構造の特徴と違いを説明します。

免震構造

  • 目的: 地震の揺れを建築物本体に伝えないようにする。
  • 機構: 建築物と地面の間に「免震装置」や「免震ゴム」を設置し、これが地震のエネルギーを吸収・分散させる。
  • 効果: 地震の揺れが建物に直接伝わりにくくなるため、建物自体の揺れが抑制される。これにより、建物内の設備や家具の破損リスクを減少させることができる。

制震構造

  • 目的: 建築物本体の揺れを抑える。
  • 機構: 建築物内部や基礎に「制震装置」や「ダンパー」を取り付け、これが地震のエネルギーを吸収する。
  • 効果: 地震のエネルギーをダンパーなどが吸収することで、建物自体の大きな揺れや振動を抑制する。これにより、建物の破損リスクや長期的な耐久性の低下を防ぐことができる。

免震構造と制震構造の違いは「揺れ」への対処方法が違う

免震構造は、地震の揺れを建築物に伝えないようにするための技術で、地震のエネルギーを地面と建物の間の免震装置で吸収・分散させることを目的としています。一方、制震構造は、建築物自体の揺れを抑えるための技術で、建物内部の制震装置やダンパーが地震のエネルギーを吸収します。

BCP対応とは?

BCP(Business Continuity Plan)対応とは、事業継続計画の策定や実施を指します。BCPは、災害や緊急事態、大規模なシステム障害などの予期せぬ事態が発生した際に、事業活動を継続するための対策やプロセスを定めた計画です。

BCP対応の目的
  1. 重要な業務機能の中断を最小限に抑える。
  2. 中断した業務を迅速に回復させる。
  3. 従業員や顧客、ステークホルダーの安全を確保する。
  4. 経済的な損失やブランドのダメージを最小化する。

BCPの策定には以下のステップが含まれることが多いです。

  1. リスク評価とビジネス影響分析 (BIA): 事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを評価し、その影響を分析します。
  2. 回復戦略の策定: 中断リスクを最小限に抑えるための戦略や手段を策定します。
  3. 計画の実施: 実際の対応手順やプロセス、役割分担などを明確にします。
  4. トレーニングと研修: 従業員に対して、計画の内容や緊急時の対応方法を教育します。
  5. 定期的なレビューと更新: BCPは定期的に見直しを行い、環境やリスクの変化に合わせて更新する必要があります。

BCP対応は、企業がさまざまなリスクに対して備える上で非常に重要なものとなっています。

免震構造の仕組み

従来の建物の基礎構造は、杭などを使用し、直接地面と建物を接続していました。このため、地震が発生すると、地面の揺れが直接建物へと伝わるのが一般的でした。

しかし、免震構造の建物は、その設計が異なります。具体的には、建物の下部に「免震ゴム」と称される特別な装置が配置されており、この装置が地震の際の「揺れる力」を緩和し、ゆっくりとした動きで吸収します。これにより、建物本体への揺れの伝わりが大幅に減少します。

この免震ゴムの仕組みは、アイソレータ(動きを可能にする部分)とダンパー(その動きを制御・抑制する部分)の組み合わせから成り立っています。

免震構造を採用している東京都心の主なオフィスビル

中層程度のビルで採用されることが多かった免震構造ですが、近年は免震構造と制震構造を組み合わせたりすることにより、高層ビルでも採用されるようになってきました。

千代田区

テラススクエア(2015年竣工、千代田区神田錦町3-22)

中央区

京橋エドグラン(2016年竣工予定、中央区京橋2)

東京建物日本橋(2015年竣工、中央区日本橋)

港区

日比谷ビルディング(2016年竣工予定、港区新橋1-1-1)

銀泉新橋第2ビル(2016年竣工予定、港区新橋5)

CROSS PLACE浜松町(2015年竣工、港区芝公園1)

品川シーズンテラス(2015年竣工、港区港南)

渋谷区

アグリスクエア新宿(2016年竣工予定、渋谷区千駄ヶ谷5)

品川区

oak meguro(2016年竣工、品川区上大崎2)

制震構造の仕組み

制震構造は、地震や強風による建物の横揺れを軽減するための建築技術です。この構造の主要な機能は、地震のエネルギーを吸収し、その影響を建物全体に分散させることです。この目的のために、建物の内部や基礎にダンパーやブレースといった特別な装置を設置します。

ダンパーは、地震のエネルギーを効果的に吸収し、揺れを減少させる役割を果たします。ブレースは建物の骨組みを補強し、構造の安定性を高めるものです。

制震構造の大きな特徴は、地震のエネルギーを吸収して横揺れを減少させることで、建物内の構造や設備、そして中にいる人々の安全を高めることを目的としています。このため、特に超高層ビルや重要な公共施設などでの採用が増えています。また、古い建物を大規模にリニューアルする際に、後から制震装置を追加することも一般的に行われています。

制震構造を採用している都心の主なビル

<千代田区

飯田橋グラン・ブルーム(2014年竣工、千代田区富士見)

日比谷パークフロント(2016年竣工予定)

秋葉原UDX(2006年竣工)

中央区

東京スクエアガーデン(2013年竣工)

日本橋一丁目三井ビルディング(2004年竣工)

港区

JTビル(1995年竣工)

オランダヒルズ森タワー(2004年年竣工)

愛宕グリーンヒルズMORIタワー(2001年竣工)

赤坂インターシティAIR(2017年竣工予定)

制震構造ビルは上記以外にも多数あります。

免震、制震構造をお探しの際は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

オフィスビルを選ぶ際には、その建物が持つ耐震技術や安全性を重視することが必要です。免震構造と制震構造は、それぞれ異なるアプローチで建物を地震の影響から守ります。

今回の記事を通じて、その違いと各構造の特長を理解できたのではないでしょうか。正確な知識を持つことで、より安全なオフィス選びができるでしょう。

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