オフィスの敷金(保証金)を解説します

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オフィス物件を賃貸する際、賃料や管理費など毎月の支払い額に注目しがちですが、実は契約時にまとめて払う初期費用も大事な項目です。

中でも高額な敷金(保証金)については正しく理解していないと、いざ物件を退去しようとした時に追加で料金を請求されたり、敷金(保証金)の返還を巡ってビルオーナーとトラブルになってしまったりすることもあります。そんなトラブルを未然に防ぐため、敷金(保証金)についてしっかりと理解しておく必要があります。

ここでは敷金(保証金)について分かりやすく解説いたします。

敷金(保証金)ってそもそも何?

民法では、敷金(保証金)は『いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう』と定義をしています。

言い換えると、敷金とは、賃貸オフィスを借りる際にビルオーナーに対して、賃料の滞納や入居テナントの過失による損傷の修繕費を担保するために、契約時に支払う預託金のことになります。

賃料の不払いなどがなければ、物件の退去後に返金してもらうことができます。

※「敷金」と「保証金」の違い。

敷金:「賃料の〇ヵ月分」とされることが多く、賃料が改訂されると敷金の額も変動します。

保証金:「坪単価」や「㎡単価」で決めることが多く、保証金の額は改訂されません。

敷金(保証金)の相場はどれくらい?

住宅の場合は賃料の1~2ヶ月分程度が相場ですが、オフィス物件の場合は賃料の6~12ヶ月分が相場と言えます。イメージとしては、10~40坪くらいの大きさでは3~6ヶ月、50~100坪以上は6~12ヶ月分が相場かと思います。個人オーナーのビルでは3~6ヶ月分、大手デベロッパーでは12ヶ月分が相場とも言えます。

オフィスは住居に比べて原状回復費をはじめとする退去時のリスクが高いことが要因で、万一、テナントが賃料を支払わずに連絡が取れなくなってしまった場合、住宅であれば家具の撤去とハウスクリーニングで済みますが、工事箇所が多いだけにオフィスの貸主の方が負担が大きいからだといえます。

敷金(保証金)を払うタイミングは、賃貸借契約を締結する際が一般的です。初期費用として礼金や仲介手数料などと一緒に支払います。

※敷金(保証金)は預かり金のため、消費税はかかりません。

敷金(保証金)っていつもどってくるの?

民法では、『賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたとき』と敷金返還債務の発生要件が明文化されていますが、この規定は任意規定とされていますので、個別の特約条項により返還時期が設定されている場合には、特約条項が有効となります。貸室からの退去後、賃借人(借主)の債務の清算後、『遅滞なく』『1ヶ月以内に』『6ヶ月以内に』など契約書の記載時期に合わせて返還されます。

ここで注意しなければならないことは、「債務の清算後」=オフィス明け渡し(退去)終了後ではない点です。オフィスの明け渡し後に、原状回復工事が終了し、水道光熱費などの経費精算が終わった時点が「債務の精算」となります。つまりオフィス移転をしようとする場合、新しいオフィスの敷金(保証金)に返還される敷金(保証金)を充てることは出来ないということです。新しいオフィスの敷金(保証金)を入金するのは契約締結時ですので、旧オフィスの敷金(保証金)が返還される時期より必ず早くなります。

 敷金(保証金)は全額返ってくるの?

敷金(保証金)はオフィス移転後、清算時に全額戻ってくるわけではありません

賃貸オフィスの場合、住宅とは異なり「償却」がある物件が数多くあります。この償却とは敷金(保証金)から解約清算時に無条件に差し引かれる費用のことです。(関西では、敷引きと呼ばれます)

最近では大型ビルを主体として償却費を必要としない物件が増えてきましたが、中小ビルではまだまだ償却費がある物件の方が多い状態です。償却費の相場は、保証金の10~20%程度、もしくは敷金の賃料の1ヶ月~2ヶ月分程度です。

※償却額については、契約書に特約事項として記載されていますので、必ず確認することが必要です。

また、償却の他、原状回復費用を差し引いた額が返還額になることもあります

なお、原状回復工事については、工事業者が指定されている場合と、指定されていない場合(退去するテナントが業者を見つけ工事させる)があるので注意してください。場合によっては、交渉に応じてくれる貸主様もいらっしゃいます。

原状回復費は、坪数とオフィスビルのグレードで相場の金額が変わってきますが、小・中規模オフィスの相場は坪単価2万円~5万円、大規模オフィスの相場は坪単価5万円~10万円、といったあたりが1つの目安になっているかと思います。

ただ、実際のところはこの枠におさまらないケースも多数存在し、費用相場には相当の幅があります。テナントが業者を見つけ工事させる場合は、数社から見積もりを取って比較検討すればよいのですが、工事業者は指定されている場合が多く、その場合指定業者の独占状態になってしまうため、競争が発生せず、相場よりも高めな見積もりになりがちです。

原状回復費用の相場をチェックして、相場より高額な場合にはプロに任せて賃貸人(もしくは管理会社)と交渉をしてもらいましょう。素人がちょっと知識のあるレベルでビル管理会社に交渉をしたところで、せいぜいほんのわずかな値引きがされる程度で、大幅な削減はできません。 プロがチームを組んでビル管理会社に適切に交渉することが大切なのです。

※敷金(保証金)の返還時期を早め、原状回復費用を減額する手段として、退去をするときに「居抜き」にすることが近年注目され始めています。ビルオーナーの承認を得なければなりませんが、ビルオーナーにとっても次のテナントが早期に見つかる等のメリットがありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

物件を借りるとき、初期費用の1つとして必ずついてくるのが敷金(保証金)です。オフィス物件を借りる場合、賃料の6ヶ月~12ヶ月分程度と高額な費用ですので、必ず契約時には詳細を確認する必要があります。ただし、敷金(保証金)は交渉によって減額できる場合や、保証会社を利用することで減額する方法もあります。

退去時の敷金(保証金)返還時期、返還額(特に原状回復工事費用に関するトラブルは多いのでご注意ください)についても、契約書の特約事項等あらかじめ確認しておくことが必要です。


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